人間についてのプレゼン会

プレゼン

そして、場所は変わって_____


アルベドは玉座の間に急いで向かっていた。

「ああもう!余計な事で時間を食ってしまったわ!もうアインズ様にお会いする時間が5時間36分の減少だわ・・・今日は徹夜してでもアインズ様にお会いできなかった分を取り戻さないと♡」


シャルティアもぶつぶつ言いながら廊下を歩いていた。

「ああ~ん、もうアインズ様に今日はお会いしていないのが何だかたまらなくて、疼くでありんす。最初は閉じ込められたのはすごく嫌だったでありんすが、それはそれで会えない愛しさでうずうず、むずむず耐えるのも良いなって思ったでありんす・・・・吸血鬼の花嫁ヴァンパイア・ブライドにも試してみるでありんす」





玉座の間に、アインズ・ウール・ゴウン、アルベド、シャルティア、デミウルゴス、コキュートス、セバスが集まっていた。


「これから定例会議を始める!以前アインズ様が、(人間種のモンスターや人間をこれから捕縛した時にストレスを溜めないように、拘束する技を探せ)との課題を出された。皆、発表する準備は出来ているか?」


デミウルゴスが守護者たちに問いかける。


「もちろんよ」

「もちろんでありんす」

「準備ハ万端ダ」

「既にメイド達の計画はまとめております」


「うむ、皆優秀だな。さすがだ」

(ああ、良かった~。人間を下等生物に見て利用価値なしと思っているからこの提案は却下されるかと思ったけど、皆きちんと対応してくれた~)


アインズは胸を撫で下ろした。




「・・・まずは司会進行の私から行こうか」

眼鏡をくいっと人差し指であげるデミウルゴス。


「私は人間の恋愛感情を利用して何かできないかと考えております。皆、人間の恋愛感情が多発する場所はご存知でしょうか?」


アインズは分からないので、堂々と支配者らしく指示した。

「分かる者から、挙手せよ」

(ええ~この世界でも合コンとかあるのかな~?モモンはモテそうだな・・)


「はい!分かるわ!!私!」

アルベドは目をキラキラとさせながら、意気揚々と手を挙げた。


「では、アルベド」

アインズがアルベドを指した。


「アインズ様!愛が溢れている場所といえば・・・ここ!ナザリックですわ♡アインズ様の愛に直接触れられる場所なんて・・・ここ以外ありえませんわ!」

鼻息荒くアルベドは嬉しそうに答えた。


「はい、じゃあシャルティア!」

アインズはすぐに回答権を代えた。


「うう~ん、私にとって愛が溢れている場所と言えば、人間界で言うのなら・・・お墓でありんすね~。生きている人間よりワクワクするでありんす♡」

じゅるりとよだれを垂らすシャルティア。


「あなた、馬鹿じゃないの?アインズ様は死んでいる人間ではなくて、生きている人間をご所望なのよ?話を聞いてなかったの?」

「はああ?アルベド?・・・何しに来てるか知らないけど、生きている人間もよくお墓にいるでありんすよ?ああん?」


アルベドとシャルティアは、いつものようにメンチを切って喧嘩が始まろうとしていた。



「既に死んだ人間を活用するのも良い案かもしれんな。しかし、墓を掘り返すのは人間の上層部や王族などの尊厳を傷つけたり、無用な争いを生みそうだから、あまり良い案ではないな」

アインズは却下した。


「くうううう~!残念でありんす~!」

「ふふふ、私のほうがまだマシね!フンっ!」


「スマナイガ、私ハ思イツカナイ」


「アインズ様、セバスは散歩を兼ねて街中を歩きますと・・・何故か女性ばかりに声を掛けられますが、それは何かにお役に立てませんでしょうか?」


「うむ、使えそうだな!必要な時は声を掛けるぞ!セバス!」

(さすがイケオジ執事セバス!羨ましい・・・女性を集める時には使えるな!ま、まあ・・・自分には使えるブツが無くなったけど・・・」



一通りみんなの意見が出揃ったところで、デミウルゴスが口を開いた。


「アインズ様、人間の恋愛感情が多発する場所というのは、街中の居酒屋やレストランなどで、愛情を深めるため(婚活)という事をしているそうです。不特定多数の男女で集まり、恋愛について情報交換をしているとのことです」



「うむ、婚活か・・・なんだかトンカツを思い出し・・・・ん、ゴホン!それなら恋愛感情を利用して捕縛が出来そうだな」

危うく美味しいお肉の話をしそうになったアインズ。


「そのため、婚活の現場に何人かの人員をを送り込みたいと考えております。アインズ様のご判断で何人か選んではくださいませんでしょうか?」


「おお・・・そうだな・・・」

(人間と話せるのは限られているからな・・・誰にするか・・・)



アインズは少し悩んで発表をした。

「婚活現場に行かせるメンバーを決めたぞ!!」

その声を聞いてアインズに視線が集中する。


「一人目、アルベド!」

「二人目、ナーベラル・ガンマ!」

「三人目、ソリュシャン・イプシロン!」

「四人目、ルプスレギナ・ベータ!」


「以上四人に任務を任せる!!そして、慣れない人間との会話が長く続くことを想定をして、近日にアインズ主催の人間語講座を開こうと思う!!」


アインズは以前、人間として働いていた時に、雑談が苦手だったので(さりげないビジネスで使える雑談集)という本を読みまくっていたことを思い出した。



「私、下等生物と話すのはとても嫌ですが、この任務を頑張れば、アインズ様直々の授業が受けられるんですよね!ぜひ!手取り足取り教えてください!!もしアインズ様さえよければ、夜の授業ベッドもご一緒しませんか♡」


アルベドが息遣い荒くはあはあと、黒い羽根をパタパタさせながら、喜びと苦しみの気持ちを吐露した。



「おお、アルベドは真面目だな。さすが守護者統括だな!仕事終わりの夜に勉強したいなんて偉いぞ!」

アインズはアルベドが勉強で徹夜をしたいのだと勘違いをした。


「ええ!!良いのですか!?アインズ様!・・・はあ~♡、ついに私は初めてを迎えるのですね♡」

顔を赤らめてうっとりした表情のアルベド。


「何でありんすか!私もアインズ様の夜の授業ベッドを受けたいでありんす!!アインズ様!私も人間との婚活に立候補するでありんす!」

シャルティアも色々な勘違いをしたまま、大きな声で宣言した。


「おお、シャルティアも人間に興味があるんだな~!では、五人目を任せるぞ!」

(死体しか興味ないと思ってたけど、シャルティアも成長したみたいで嬉しいぞ!)



デミウルゴスのプレゼンは、色々な勘違いとすれ違いで終わった。

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