アインズ様の気になること
そのツアレを観察していた存在というのは・・・・アインズ・ウール・ゴウン・・・その人だった。
アインズはナザリック地下大墳墓内の自室で、遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で、ツアレの様子を確認していたのだった。
「うーん、ツアレって喜怒哀楽が色々あってまさに人間的だなあ・・・」
(俺なんてこの姿になってからは、大きく喜ぶこともないけれど、大きく悲しむことや苦しいって思わなくなったんだよな~。どっちが幸せなんだか・・・)
アインズは溜息をついた。
そして、アインズはぶつぶつ呟いた。
「・・・・まあ~セバスとツアレが異国の地に出張というだけでも、色々気になるのにさ~、高級ホテルに二人で泊まるって!!
怪しい匂いがプンプンするわよ、奥さん!!という気持ちになってしまって、こっそり確認したら・・・
ホテルにセバスがいないじゃないか!・・・やっぱりセバスはそういう事するタイプじゃないよな~。疑ってごめんなさい、セバス!次回からは信じるよ!」
人払いをして誰もいないことを良いことに、アインズは、今まで思ってたけど言えなかったセバスとツアレに関する気持ちを、沢山吐き出した。
そろそろ遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)での確認作業(野次馬)を終わりにしようとしたら、ドアの外からトントンとノックの音が聞こえた。
「アインズ様、デミウルゴスです。只今お時間よろしいでしょうか?」
ドアのノックした主は、デミウルゴスだった。
「許可しよう、入れ」
「はっ、ありがとうございます。では失礼いたします」
デミウルゴスが資料をいくつか持ってきて、アインズの自室に入ってきた。
アインズは何か今日デミウルゴスと打ち合わせがあったっけ?と何も見当がつかないので、
内心焦りながらも、表面上は威厳のある支配者のような態度で話しかける。
「どうした?デミウルゴス。私に何か頼みたい事でもあるのかね?」
「はっ、アインズ様。自室での御休み中に申し訳ございません。私が以前申していた件について、先ほど進展が見られましたので、急ぎお知らせに参った次第でございます」
跪いてアインズに話しかけるデミウルゴス。
「・・・ああ、あの件か・・・そうか、それはご苦労だった」
(以前申した件って何~?モモンについてかな?デミウルゴスの牧場についてかな?分からないから説明してもらおうかな?)
まったく話が見えてこないが、いつもの感じで知ったかぶりをした。
「アインズ様はさすがでございますね。私が持って来た資料で、何の件について話しているかお分かりになられるなんて・・・さすがアインズ様!!」
うっかり、アインズは何の件について話しているのか聞くことが出来なかったので、話をそらすことにした。
「・・・あ~、デミウルゴス?・・・この遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を使ってみたいと思わないか・・・?」
「ええっ!、そ、そんなっ!・・・至高の御方々の宝を、私が触れてもよろしいのでしょうか?」
デミウルゴスはうやうやしい態度で反応をした。
「無論、構わないとも・・・信頼のおけるデミウルゴスだから提案しているのだぞ。使いたくないなのらそれで良いが・・・・」
(あ~やっぱり急に使いたくない?って聞くのは変だったかな?)
提案してみたものの、アインズは自信がなかった
(デミウルゴスからは、そうは見えてはいない)
「そして、差し支えなければ教えて頂きたいのですが、アインズ様はこの遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で、何をご覧になられていたのですか?」
ウキウキと興味津々で質問するデミウルゴス。
「私が観察していたものは、人間だ。ナザリック地下大墳墓で共に働いている仮メイドのツアレが、どうしているかを確認をしていた。まあ・・生存確認だな・・・」
アインズは取ってつけたような理由を、あたかも当たり前のように堂々とデミウルゴスに説明をした。(本当の話がバレたら、相当恥ずかしいいいいい)
ドキドキ・・・・ドキドキ・・・・ドキドキ・・・あ、あれ・・?
デミウルゴスさ~ん、私話しましたよ~。声届いてないですか~?
何で反応ないんですか~?????
アインズが理由を伝えた後に、デミウルゴスの反応が一切返ってこない。
心配になったアインズがもう一言話そうとしたら、デミウルゴスがとても嬉しそうな顔をした。
「ううううううう、さすがです!!!!!アインズ様!!!私の計画を先回りをして行動して頂けるなんて・・・・感動の極みのございます!!!」
偶然にもアインズの説明は、デミウルゴスが報告したかった事だったらしい。
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