自分にかえってくる

でこちゃんは、お友達のお店に遊びに行きました。


お店には「かわいいおばさん」という、とてもとてもキャラの濃いおばさんがいました。


おばさんは、他人をいじめるのが大好きみたいです。


お友達は、

「困ってるのよ〜」

と頭を抱えていました。



かわいいおばさんは、自分を大切にするあまり、失敗や悪いことを、他の人のせいにするのです。


身に覚えのないことや、悪口を陰で言います。


でも、お店のみんなは仲良しなので、おばさんの陰口はぜーんぶ、知っているのです。



知らないのは、おばさんだけ。



最初からこうではありませんでした。


かわいいおばさんは、とても愛想良くて、元気で明るい、きれいなおばさんでした。


でも、自分より仕事ができるひとが現れたり、若い子がお店に入ってきて、いろんなことを思って焦ったのでしょう。


新人いじめや、同僚の陰口、失敗のなすりつけを始めました。


おばさんは、きれいなおばさんから、「かわいいおばさん」というお化けになってしまいました。




ある日、でこちゃんはなんとなく、お店を見に行きました。


お店では、また新しい人が働いていました。


でこの友達でもあり、昔、このお店で働いたことがある人でした。


輪の中心は、その人になりました。


お友達も楽しそうに、仕事をしていました。



「かわいいおばさん」は、輪に入れないまま、口をへの字に結んでいました。



悪いことをしたら自分に帰ってくる。



でも、このおばさんが、いつかまた、きれいなおばさんに戻れる日が来るといいなぁ。



でこちゃんは、そっとお店を出ました。


とたんに、ザーッと雨が降り始めました。


「この雨は、かわいいおばさんの涙だ」


でこちゃんはずぶ濡れになりながら、歩きました。



「かわいいおばさん」は、きっと戻り方がわからないのでしょう。


悪口や嘘を言う前に、3秒待って考えて、ごくりとお腹に飲み込めば、いいだけの話なのです。



でこちゃんは、3秒待って、走り出しました。

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