世界観設定

✥ エレンシア王国とは

 エレンシア王国は、メルヴェイユ海に浮かぶ島国です。古より伝わる「竜との誓約」により、魔法という神秘の力と技術が息づく大国で、周辺諸国から一目置かれています。

 エレンシア島は海外沿いの崖に張り付くように市街が形成され、崖の上には豊かな自然が広がっています。島の中央部にあるボレオス山の地下深くには、邪竜〈メトゥス〉が封印されていると言われています。


 エレンシア王国が大陸史に現れるのは、500年ほど前に遡ります。もちろんそれ以前にも人々が生活し、歴史が刻まれていたのですが、ここでは省きましょう。

 エレンシア王国は〈邪竜決戦〉と呼ばれる伝説とともに、歴史の表舞台に姿を現しました。それは、怒り狂う海の神、邪竜〈メトゥス〉をひとりの魔法使いと騎士が力を合わせて打ち倒したという、ありふれた竜退治のお話です。


 驚くべきは、これは——多少の誇張や脚色はあるにせよ——概ね事実であるということです。神秘が息絶えようとしている世界で、エレンシア王国は神代の遺産として記録されました。

 邪竜は海の底に封印され、人々は邪竜と戦った英雄たちの勇姿を記憶するため、また邪竜の復活に備えるため、ふたりの英雄に倣い、魔法使いと騎士を育成する組織〈アルヴィラッツ〉を結成しました。アルヴィラッツは王国の民と共にあり、200年ほど前に「学校」としての形を確立します。


✥ 王立院アルヴィラッツ

 200年ほど前、時の国王アルドイリア2世の勅命により、国庫出資で整備された公的教育組織が〈王立院アルヴィラッツ〉です。学費さえ支払えばどのような身分の子供でも通うことができ、教育の機会を得られます。


 12歳から入学でき、4年間、見習い魔法使い〈メイジ〉、または見習い騎士〈スクワイア〉として他の生徒ともに共同生活を送ります。16歳で卒業でき、王立院の教師を志す者はさらに4年間、高等教育を受ける権利が与えられます。


 カリキュラムは選択制で、必修科目と選択科目から自分で選んで時間割を作ります。現実世界でいう大学に近いシステムと言えるでしょう。クラスの概念はなく、各生徒は講義のある教室へ出向く形になります。


〈食堂〉

 1号館の2階にある、お手頃価格で美味しいご飯が食べられる食堂です。教員用のスペースが用意されていますがメニューは共通で、生徒に混じって食事をとる教師もいます。オムライス、ビーフシチュー、クリームパスタ、パエリア、ハンバーグランチ……あなたの好きなものがきっとあるはずです。


〈図書館〉

 1号館の3階にある不思議な図書館です。どこが不思議かというと、とにかく広いのです。外から見ると1号館は3階しかないのに、図書館の規模がそれに収まらないのです。どこまでも続く書架、たくさんの階段、隠し部屋、迷路のような通路……アルヴィラッツの図書館には秘密がいっぱいあります。


〈研究棟〉

 主に教員の研究室がある棟です。やっぱり外観の規模に合わない広さを持っています。研究室内のアレンジは各教師の自由裁量となっています。研究室で寝泊まりする教師も、いるのだとか。


〈学生寮/教員寮〉

 申請することで部屋を借りることができます。近隣に住む子供たちは自宅から通う子もいるようです。

 個室、2人部屋、3人部屋、4人部屋があり、4人部屋は2段ベッドがふたつ備えられています。


〈中庭/薬草園」

 敷地の中央部にある庭です。昼休みをここで寝転んで過ごしたり、スポーツをしたり、友人と談笑をする、そんな憩いの場です。一角は薬草園となっており、魔法薬学の実習が行われることがあります。


〈アトリウム〉

 5号館にあるエントランスラウンジです。吹き抜けで、天井には細やかなガラスが埋め込まれ、美術品として登録されています。散乱する光のシャワーを浴びに訪れる人も多いようです。


〈カフェ〉

 5号館2Fにある落ち着いた雰囲気のカフェです。窓からはアトリウムを見下ろすことができ、ゆったりとした時間を過ごすことができます。


〈部室〉

※騒音厳禁※

※20:00には退室、消灯すること※

※ここに逃げ込んでもテストは受けてもらいます※


などの張り紙が貼ってある…


✥ 言葉と貨幣単位

 エレンシア王国では「エオル語」と呼ばれる神代言語が話されています。世界的にも希少な、エレンシア王国以外では話されていない言語ですが、比較的習得は容易です。この言葉の歴史を語ると長くなりますので、いつか機会があればお話ししましょう。


 経済取引は貨幣と紙幣を併用し、「ディタ」と呼ばれる単位で数えます。100ディタもあればサンドイッチがひとつ買えるでしょうか……それくらいの価値です。


✥ エレンシア王家

 現在エレンシア王国を治めているのは、〈善良なる〉アルドイリア9世です。王としての能力は良くも悪くも平凡でありますが、優しく慈悲深い人柄で国民から愛されています。

 また恋の多い人物で、エレンシア王としては最多の側室を持ち、記録に残らない私生児も多くいます。あなたの隣の席に座っている彼/彼女はもしかしたら…なんてことも、あるかもしれませんね。


✥ 魔女 / Malefi

 魔女——それは邪竜の眷属。邪竜と契約を結び、滅びの力を手に入れた者のことです(魔女と一口に言いますが、男性も含まれます)。

魔女たちは邪竜決戦で人々と対立し、海に散ったと言われています。

 魔女となったものたちは、魂を邪竜に支配されます。魔女の子供もまた、邪竜の支配を受けます。このため、魔女はその正体が暴露されると共に、社会から排除されてきました。

…今も、社会の陰に、魔女は潜んでいます。


✥ 人名録

神言のエリアーナ / Eliana, the Blessed

 邪竜がもたらす滅びを予言した上で、賢者ラヴィニアと騎士レナートを見出し、〈契約〉の力を与えたとされる少女です。彼女は16歳という若さで命を落とし、聖女として葬られました。

 エレンシア王国において、彼女は崇敬の対象です。しかし彼女は予言と〈契約〉の他には目立ったものは残さなかったため、彼女を聖女と讃えても、宗教として教義らしい教義が形成されているわけではないようです。


学園長 / “Provost”

 構内を徘徊、もとい巡回する謎の「猫」です。長毛種でふさふさとした尻尾を揺らしながらおやつを探しています。

 冗談かと思われるかもしれませんが……これでも300年ほど昔から生きる大魔法使いなのです。

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