歌の葉手帳

雨音

スロウシャドウ







しとしと雨降る夜の町で


ふらふら歩く


黒猫と短い挨拶をして


濡れた身体はお互いさまだね


と、笑いあう


たったそれだけでさようなら


明日もまた会えるかな




しとしと雨降る夜の中で


ふらふら歩く


僕に気が付く人はいなくて


濡れた髪もそのままにして


そのままにして


たったそれだけでさようなら


明日は何か変わるかな





雨の川


僕は手を伸ばして


夜を掴む


雨の音


僕は身を委ねて


夜を泳ぐ





濡れる窓に見つけたのは


雨に濡れる町をゆらゆら歩く黒猫の姿


なぞるように触ってみたら


冷たくて驚いたんだ





雨の川


僕は手を伸ばして


夜を掴む


雨の音


僕は身を委ねて


夜を泳ぐ




猫の影


遠くに見つけた


それはかつての君


僕は夜に紛れて手を伸ばす


触れた


触れた


それは雨の川


今はまだ


雨の川


雨の川さ





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