眠った少年





列車事故を起こしたあの路線は

みんな眠ってしまった


数日前まで当たり前のように

走っていた少年も

今ではどこにいるのか分からない


いつもと違う道に戸惑うけれど

きっとすぐに慣れてしまうのでしょうね


寂しいけれど

あの少年のこともすぐに

みんな忘れてしまうでしょう



私が今日どこかへ逃げて消えたとしたら

寂しいと思ってくれる人はいるのでしょうか

涙を流してくれる人はいるのでしょうか


でもきっとすぐに慣れて

忘れられてしまうのでしょうね




なぁんて考えていたら


「あの少年がまた走りだしました。」


と、ラジオから声が降ってきた



明日からはまたいつもの道ね



私も変わらずいつものままね

変われずいつものまま

いつものまま







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る