24日目

「こんばんは」


「こんばんは」


「あのさ」


「うん」


「あのさ」


「うん」


「・・・」


「・・・」


「俺、電話が苦手なんだ」


「え」


 なんとか勇気を振り絞って言ってみたが、相田さんは驚いただろうか。がっかりしただろうか。


「ご、ごめんね!」


「え、な、なにが?」


「私、知らなくて。電話だけで話そうなんて言っちゃって。ごめんなさい」


「違うんだ!」


「・・・」


「最初は確かに困ったよ。だから、30秒だけにしてもらったんだ」


「うん、最初のころの電話、長居くん緊張してるなとは思ったけど、付き合い初めたからだと思ってた」


 緊張しているのはバレていたのか。


「でも、毎日電話しているうちに楽しくなってさ。相田さんとだったら毎日電話でも大丈夫なんだって思ったんだ」


「うん」


「ありがとう」


 何が、ありがとうなんだろう。何もしてあげられていないのに。


「話してくれてありがとう」


「いや、俺が言いたかっただけなんだ」


「私も、言わなきゃいけないことがあるから、今度話すね」


「うん、おやすみ」


「おやすみ」

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