018: 烏合の衆――濡羽

「皆の衆、人間には ”烏合の衆„ という言葉があるらしい」


「どのような意味か?」


「我々カラスの如く、協調性があり、適材適所で協力して物事を進める。これに違いない」


「さよう、人間どもは分かっているではないか」


「いや、それが ”規律や統制がない集団„ ということらしい」


「なんと! 我々カラスを侮辱しておる」


「我々カラスは協力して行動するし、役割分担もするぞ」


「まさに濡衣だ」


「そこは、濡羽というべきであろう」


「人間というのは、何と愚頓なことか!」


「事実を正しく認識する知能がないのか?」


「やはり、我々カラスは人間などより賢明だ」


「しかしだ。人間と正面切って戦争するには戦力不足だ」


「愚かな人間どもが絶滅するまで待つしかない」


「さよう、人間どもは同士討ちをして、滅びて行くに違いない」


「我々カラスは力を蓄え、知恵を伝え、人間の絶滅を待つのだ」


「結論は出た。皆の衆、我々カラスが地球を支配するまで励むのじゃ!」

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