第二十七話・15

 理恵ちゃんは楓とどこまでやったんだろうか?

 楓に聞いても、なにも答えてくれないし。

 やっぱりエッチなことをしちゃったんだろうか?

 理恵ちゃんの家に行ったとまでは聞いたけど、詳しいことは何も言ってくれない。


「ねぇ、弟くん。一緒にお風呂に入ろっか?」

「全裸にならないのなら、良いよ」

「それはね。お風呂なんだし……。さすがに不可抗力なんじゃないかな」

「それはそうだけど……。でも……」

「お姉ちゃんのお願いは聞いてくれないんだ?」

「そんなことは…ないけど……。裸っていうのは……」

「それなら、お姉ちゃんからの命令ってことで──。弟くんは私と一緒にお風呂に入ること。拒否は認めないからね。いい?」

「あ、はい。わかりました」


 語気を強めにしたら、楓は言うことを聞いてくれた。

 最初から言うことを聞いてくれればはやいのに……。

 ──まったく。なにを考えてるんだか。

 今度から、命令っていうことにしてみようかな。


 エッチなことをするならベッドの上の方が断然いいけど、ちょっと深めなスキンシップをするならお風呂場の方がいい。

 楓はどう思っているんだろうか。

 最近、楓とのスキンシップが減った気がする。

 そんな風に思うのは、楓が奈緒ちゃんたちとの付き合いが多くなったせいだろう。

 それはそれで良いことなんだけど、色々と寂しいことなのはちょっと否定できない。

 だからといって楓以外の他の男の子に依存する気にならないのは、私が一途だからだと思う。


「ほら。体の力を抜いて──」


 私は、そう言って楓の体に抱きついていた。


「ちょっ。香奈姉ちゃん! 裸で抱きつくのは──」


 楓は慌てた様子でそう言ってくる。

 やましい事はなにもないのだから、問題ないのではとも思うんだけど……。楓にとっては違うみたいだ。


「なによ? 気になるところでもあった?」


 私は、そう言って楓の下半身の大事な箇所を見やる。

 そこに目を向けたのはわざとだ。

 楓のことだから、なんとなくそうなっているんじゃないかと思ったのだ。

 私との体の接触があったせいか、楓の大事な箇所はすっかり勃っていた。


「あらあら……。そんなに元気になるなんて──」


 ちょっと胸のあたりが触れただけでこんなに元気になるなんて……。

 私としては嬉しいやらなにやらである。

 楓は、恥ずかしいのか大事なあそこを隠す素振りをする。

 隠しきれてないけど。


「あの……。あんまり見てほしくないんだけど……」

「弟くんのものなら、別に隠す必要ないじゃない。…もう私とはしちゃってるんだし」

「そ、それは……。香奈姉ちゃんの体を見たらつい……」

「やっぱり反応しちゃうんだ? 弟くんも男の子なんだね?」


 私は楓の大きくなった大事な箇所を見て、なぜか嬉しくなってしまう。

 どうやら私の体は、まだまだ需要があるみたいだ。

 さすがにお風呂場でそんなことは…してくることはないんだろうけど。

 今されたら、私の精神がどうなるかわからない。

 すぐに落ちる自信がある。

 だけどワクワクしている私がいるのもたしかだ。

 私自身、ちょっと期待しているのか、胸の先端がつんと勃っているし。

 もしかしたら、心よりも体が要求しているのかもしれない。


「それは……。香奈姉ちゃんのその…胸を見たら誰だって──」

「そっか。どこを見てるのかと思いきや──。でも、それはそれで嬉しいかも」


 やっぱり私のおっぱいに目がいってしまうんだな。

 さすが楓だ。


「普通は見られたら恥ずかしいものかと思うんだけど……」

「うん。見られたら十分に恥ずかしいよ。…でも弟くんになら見られても別に構わないし」

「僕はその…香奈姉ちゃんに──」


 楓は、なにかを言いかけてやめてしまう。

 なにに遠慮しているのか私にはわからない。

 でも今は、お風呂場で2人きりだ。

 裸の付き合いということもあり、なにも隠すようなところはない。

 このまま押し倒したりするのもありだ。


「なに? 私とはやくスキンシップをしたいの? 弟くんはせっかちなんだね」

「そんなことは……。僕はただ──」


 だけど楓が遠慮がちなのでやめておく。しかし──


「それなら、今日は理恵ちゃんとどこまでやったの?」

「えっ」

「理恵ちゃんから、今日は楽しかったってラインで言ってきてるんだけど、なにをしたのかなって思って」

「いや……。特になにも……」


 楓は、なぜか私から視線を背ける。

 こういう時って、なにかしらあったっていう証拠だ。

 思い切って踏み込んでみるべきか。


「なにもなかったんだ? ホントに?」

「た、たぶん……」

「たぶん…か。なんか信用できないな」

「な、なにもなかったよ。ちょっと理恵先輩の下着を脱がしただけで……」

「へぇ。理恵ちゃんの下着をねぇ。なるほどね」


 私は、つとめて笑顔でそう言っていた。

 パンツを脱がしたということは、理恵ちゃんの大事なところを見ちゃったんだ。

 これはもう、平気な顔をしてはいられないな。

 私も、かなり大胆に攻めていかないと──

 私は、迷うことなく楓の体に肌を密着させる。

 それがちょうどおっぱいだから、楓にとっては刺激が強いみたいだ。


「ちょっ。香奈姉ちゃんっ! いきなり──」

「いきなりなんかじゃないよ。これは最初から決めていたことなんだからっ」

「最初からって……。僕には、偶然のようにしか見えなかったんだけど……」

「もう! 弟くんは、細かいところを気にしすぎ──。私が『良い』って言ってるんだから、いいんだよ。だからね。弟くんも、もう少しだけ積極的になろうよ? ね?」

「香奈姉ちゃんはその…積極的すぎて……」


 楓は、なにかを言いかけてやっぱりやめてしまう。

 だけど、この場合は問答無用だ。


「なに? 言いたいことがあるのなら、はっきり言おうよ。私はやりたいから、したいことをしてるだけだし」


 そう言うと、私は楓の背中に指を添え、そのままなぞっていく。

 さすがに下半身の大事な箇所は触らないでおいた。


「香奈姉ちゃん」

「なに?」

「なんか楽しんでない?」

「なんのことかな?」

「こういう時の香奈姉ちゃんって、なにか企んでる時だから──」

「弟くんは、気にしなくてもいい…ていうわけにはいかないか……。私自身は、弟くんにやきもちを妬いていたり…するかも……」

「やきもち? なんで?」

「なんか最近さ。他の女の子に振り向いちゃったりしてる時…ない?」

「それはないかな。バンドメンバー以外とは特に──」

「そうだよね。弟くんに限っては、それはないか。なるほど……」


 私自身で1人納得していると、楓はまた不満げな表情になる。


「やっぱり楽しんでるでしょ?」

「うん! 弟くんって、やっぱり弟くんなんだなって──」


 そう言って私は、再び楓に抱きついていた。

 おっぱいの先端が楓の背中に当たってしまうが、この際気にしないでおこう。

 ──それにしても。

 楓は、私との体の接触にはかなり抵抗があるみたいだ。

 なんか遠慮がちというかなんというか……。

 別にエッチなことをしてるわけじゃないのだから、気にしなくていいのに……。


「ほら。弟くんも──」

「僕もって……。この状態だとさすがに無理が──」

「だったら、こっちを向けばいいじゃない」

「でも……」

「大丈夫だよ。弟くんのなら、私がしっかりと受け止めるから」


 私は、楓の大事な箇所を見てそう言っていた。

 気のせいか前よりも大きい気もするが、ホントに気のせいだろう。

 私って、意外と──


「それなら遠慮なく──」


 楓はゆっくりとこちらに向き直る。そして、私の体をマジマジと見つめてくる。

 別に変なところはない…と思う。

 私と楓との間には、後ろめたいことなんて何もない。

 でも、なんとなく恥ずかしい。


「来て。弟くん──」


 私は、微笑を浮かべて両手を広げそう言っていた。

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