第二十話・10
奈緒ちゃんとの間に何があったのかは、この際だから聞かないほうがいいだろうな。
楓も答えてはくれなさそうだし。
それでも、楓を私の部屋に招くことができたのはよかった。
ライブも無事に終わって、みんなと解散した後、帰り道が一緒だった楓を誘ったのだ。
バレンタインデーだから、他の女の子との約束があったのではないかと思うと気が気じゃなかったし。
「ねぇ、弟くん」
「ん? どうしたの、香奈姉ちゃん?」
楓は、思案げな表情で私を見てくる。
やっぱり気になるから、これだけは聞いておかないとダメだろう。
「古賀さんからのチョコレートって、もう受け取ったの?」
「うん。受け取ったけど。ひょっとしてダメだった?」
楓は、不安そうな表情になる。
きっと私たちから離れた瞬間に渡したんだろう。
でもそれは、怒るようなことじゃない。
バレンタインデーは、女の子が勇気を持って男の子に想いを伝える日だ。
「そんなことはないよ。バレンタインデーは女の子にとって特別な日だから、むしろ受け取らないと──」
「そうだよね。なんか断りにくかったし……。その方がいいよね」
「うん。さすが弟くんだね。女の子の気持ちがちゃんとわかっているね。それなら、私からのチョコレートも、もちろん受け取ってくれるよね?」
私は、微笑を浮かべてそう言うと鞄の中から綺麗に包装されたチョコレートを取り出し、そのまま楓に差し出した。
もちろんチョコレートを渡すだけじゃない。
しっかりとスキンシップも図るつもりだ。
「ありがとう、香奈姉ちゃん。僕からも、香奈姉ちゃんに──」
楓は、私からのチョコレートを受け取る前に鞄の中からプレゼントを取り出して、私に差し出してきた。
これは、チョコレートの交換になるんだろうか。
どっちにしても、お礼は言わないと。
「ありがとう、弟くん」
「いえいえ。いつもありがとう」
私と楓は、同時にプレゼントを受け取る。
なんか、楓からチョコレートを受け取るのって嬉しいかも。
楓の想いが込められているからかな。
普通は、来月のホワイトデーとかに渡すよね。
もしかして、お返しのホワイトデーは無しとか。
色んな考えが脳裏をよぎるけど、嬉しいことには変わりはない。
私が今、楓とやりたいのはベッドの上でのスキンシップだ。
今は、花音もいない。
だからチャンスは、今だ。
私は、楓が見ている目の前で上着を脱いだ。
脱いだら、胸を支えているブラジャーが露わになる。
案の定、楓は慌てた様子で顔を真っ赤にして私から視線を背ける。
「香奈姉ちゃん。その……。今日は──」
「わかってるよ。奈緒ちゃんとやったんでしょ?」
「う、うん……。僕は、そんな気はなかったんだけど……」
普通に聞いたら、これは『浮気』なんだろう。
だけど、この場合はそうじゃない。
奈緒ちゃんの場合は、恋愛に関しては情熱的だから、強引にセックスをしてしまうんだろう。
それは、わかっている。
わかっているんだけど……。
「それもわかってる。弟くんは、自分からエッチな行為はやらないからね」
「それって、褒められてる感じがしないような……」
「ん? 褒めてるんだよ。弟くんは、奈緒ちゃんのご機嫌を損ねないように、ちゃんとした対応をしてくれたんだってね」
そう言いながら、私はスカートの裾を指で摘んでそのまま引き上げる。
楓は、一瞬だけ視線をチラリとこちらに向けるが、すぐに別の方に逸らした。
中の下着を見るのが、そんなに嫌なのかな?
それとも、痩せ我慢?
見てるんなら、しっかりと見てほしいんだけどな。
どうせエッチなことをするんだし、全部見ることになるんだけどさ。
「あの状況じゃ、抵抗なんてできなかったんだけど……」
「奈緒ちゃんも、欲求不満だったんだよ。きっと──」
私は、そう言って楓と距離をつめる。
すぐに触れられるような距離。
楓は、戸惑いながらも私の胸に手を触れてくる。
「そう言う香奈姉ちゃんは、何をするつもりなの?」
「さぁ。何をすると思う? 弟くんなら、わかるんじゃない?」
「いや、その……。なんとなくは──」
「なんとなく…か。まだまだかなぁ」
私は、楓の体を押し倒して、そのまま騎乗位の状態になる。
楓の手は、私の胸に添えたままだ。
揉みしだいてもいいのに、あえてそうしないのは楓なりの気遣いだろう。しかし──
そんな気遣いは不要だ。
私は、楓の手に重ねるようにして手で触れて、そのまま握りしめた。
途端、気持ちがいいような悪いような変な気持ちになる。
自分のおっぱいを自分で揉みしだくのは変だけど、楓の手の方が先に私の胸に添えているので、あらゆる意味でセーフだろう。
これは自慰行為じゃない。
「遠慮しなくていいんだよ。お姉ちゃんが、ちょっと我慢すればいいだけなんだから」
「香奈姉ちゃん……」
楓は、まだ戸惑っている様子だった。
私のおっぱいを揉んでしまっていることに対して、まだ不慣れな感じだ。
二人きりの時、あれだけ触らせているのに……。
少なくとも、奈緒ちゃんの胸よりかは大きいはずなんだけどな。
「う~ん……。おっぱいだけじゃ、足りないかな? なんなら本格的に──」
「いや。さすがにそれは……」
私は、楓の慌てた様子を見て可笑しくなり、笑みをこぼす。
「弟くんは遠慮しすぎ。楓は、私にとって弟みたいなものなんだから、もっと甘えてもいいんだよ」
「甘えるのと、エッチなことをするのとでは──。違うと思うんだけど……」
「どこも違わないよ。これからすることも、弟くんならわかってくれるはずだし」
「うぅ……。それは……」
その反応を見る限り、楓にもわかっているんだろう。
これから、何をするつもりなのかを……。
「そういう事だから、はやくやってしまおうか?」
私は、スカートのポケットの中からエッチ用のゴムを取り出した。
私だって、奈緒ちゃんに負ける気はない。
なんなら、ゴム無しだって──
「香奈姉ちゃん……。またやるの?」
「当たり前じゃない。奈緒ちゃんには負けてられないし……」
「そういう事って、競うことじゃないと思うんだけど……」
「大丈夫だよ。生理の周期は過ぎてるから。今日は、安全だよ」
私は、そう言ってスカートをたくし上げて中の下着を見せる。
この時は、さすがに下着に視線が向けられていた。
楓は、なにやら焦った様子で口を開く。
「何が安全なのか、わからないんだけど……。こういうのって、もっと健全にいきたいな」
「私だって、できれば健全にいきたいよ。だけどね。男女の関係って、そんなに簡単なものじゃない気がするんだよね」
「香奈姉ちゃんは僕の恋人で、大切なお姉ちゃんだよ。それ以上には──」
「大切に想っているのなら、私とのエッチくらいできるよね?」
「できないことはないけど……。気持ちの整理がまだ──」
「大丈夫だよ。一度私の中に挿入ったら、気持ちも落ち着くから──」
私は、そう言いながらゆっくりとショーツを下げていく。
さすがの楓も、露わになった私の秘部を見ないわけがない。その証拠に、じっと凝視している。
もう見慣れてしまっているかな。
見られているかと思うと余計に恥ずかしくて、でも同時に興奮してしまう。
私の秘部も、だんだんと濡れてきた。
いきなりエッチなことをするのもどうかと思うから、とりあえずはちょっとした遊びをやろうかと思う。
エッチな行為は、それからでも遅くはない。
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