第40話 カタルシア城塞都市

真矢と桜は大砂漠をなんとか抜けカタルシア城塞都市まであと少しの所まで来ていた。


すると少しずつ都市が見えてきた。


「見えてきた!相変わらずでっかい都市だね!」


桜は観光にでも来たかのように都市を見て驚いていた。


「ほんと大きいね!なんか緊張する」


真矢は逆に都市で何が起きるか不安で仕方がなかった。


2人は城塞都市の門にまで辿り着いた。


門兵にはグライスト王国で苦い思い出がある。


グライスト王国で犯罪者にされた事はまだ伏せて真矢は門兵に話しかけた。


「あの、私たち冒険者なんですがここに入る事は出来ますか?」


すると門兵が。


「もちろんです、長旅ご苦労様です」


門兵は快く都市に入れてくれた。2人はホッとして中に入ろうとした時門兵が言い忘れたと2人に話しかけた。


「申し訳ない、今日の夕方頃中央野外ホールで騎士団長が冒険者を集めて話をするのでお二方も何卒参加してもらうようお願いしたい」


2人は長旅で疲れていてすぐにでも休みたいからか内容も聞かずすぐ了承した。


カタルシア城塞の地図は2人の頭の中に入っているので急いで宿屋に向かった。


宿屋で部屋を借り部屋に入った2人は。


「やっと休めるよ!ほんと疲れた」


「そうだね……お風呂も付いてる!桜先に入る?」


「真矢お先にどうぞ、私はもう少し座って休んでるよ」


「じゃあら先に頂くね」


部屋のお風呂はすでに沸いている。真矢は脱衣所で服を脱ぎお風呂に入った。


それを確認した桜が。


(お風呂イベントきた!!--さてさて真矢の胸がどのくらい大きいか確かめよ)


桜はおっさんのような思考でゆっくり静かにお風呂の脱衣所に向かった。そして音を立てぬよう静かに少しだけドアを開ける。


桜は小声で。


「ん?湯気でちゃんと見えない」


湯気が薄くなり少しずつ真矢の身体が見えてきた。


「おお!あと少し、あと少しで見えそう!もう少し!」


もう少しで真矢の全身が見えそうになる時桜の目の前が赤くなった。


「急に赤くなった?どういう事?」


そして真矢が口を開いた。


「桜?これ以上見たらあなたの目が炎の刃で焼き尽くされるけど大丈夫かな?」


湯気でちゃんと見えないが真矢が怒ってるのは分かった。


「あはは、目はすごく大事なので焼かれる前に退散します」


桜は焦りながら風呂場から退散した。


(あとちょっとだったのに!惜しかった)


桜は悔しがった。


真矢があがった後桜もお風呂に入った。


「久しぶりのお風呂気持ちよかったね!」


桜は真矢に話しかけた。


「そうだね!誰かさんがお風呂を覗こうとした事は許せないけど」


顔は笑っているが明らかに怒っているのが分かった。


「ごめんって!お詫びにご飯奢るから!」


「しょうがないな--じゃあご飯食べに行こっか!」


2人は食堂に向かった。


食堂の中に入るとたくさんの冒険者達が食事をしていた。


2人は空いてる席に着きご飯を注文する。


すると1人の男の冒険者が話しかけてきた。


「お嬢さん方初めまして、もしかしてお二人は冒険者ですか?」


いきなり話しかけてきた男に桜が。


「男はお呼びじゃありませんよ!どっか行って」


「桜失礼だよ、そうです」


「ははは、いきなり話しかけた私が失礼でした、すみません--それであなた方は夕方にある騎士団長のお話を聞きにいくんですか?」


そう男が2人に聞いた。真矢は。


「はい、何があるか分からないけど参加する予定です」


それを聞いた男が。


「そうか、こんな可愛い女性たちも戦争に参加するのか--世も末だな」


「戦争?」


桜は男に何があるのか聞いた。


「お嬢さん方は知らないのか、カタルシアはグライスト王国に戦争しかけるため冒険者にも参加してもらうよう今日の夕方騎士団長が演説するらしい」


それを聴いて真矢と桜はゲーム時のクエストを思い出した。


「それってゲームのクエストと一緒じゃん!」


桜が言った。


「クエスト?まあお嬢さん方は無理に参加する事はないと思うよ」


そう言って男は自分の席に戻った。


「ゲームならこのクエストは必須ルートだけど……どうしよか」


真矢はどうすればいいか悩んだ。


「とりあえず演説聞きに行こうよ!面白そうだし」


そう桜が言うと真矢はそれに納得した。


色々悩みや不安があるがとりあえず久しぶりに食べるご馳走で2人は少しの間幸せに満ちた。

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