第3章〜歩み行く道

伝説‥73話〜断る理由と顔合わせ

 ここはトパーズの街のお洒落な喫茶店風の店。クレイとマリリンは依頼を断る為ここに来ていた。


 そして、クレイとマリリンは話をしながら待っていると、カルラが店に入って来てクレイ達の方へ近付いて来た。


「申し訳ありません。遅くなってしまいまして……」


 そう言うとカルラは椅子に座り、クレイとマリリンは話し出した。


「カルラさん。今回の依頼なのですが……」


 そう言いマリリンはカルラに事情を話し出した。



 そして……。



 その頃トパーズの街の酒場では、シュウとグラディスが、ジルベイムの屋敷の警備の依頼を断る為ここに来ていた。


 まだ店を開けたばかりと昼前だった為、店内にはシュウとグラディスと店の者が2名いるだけだった。


 シュウとグラディスはテーブル席に座り、何も注文しない訳にもいかないと思い、酒と軽めのおつまみを注文し話をしながらラフィルを待った。


 数分が経ち、ラフィルが酒場の中に入って来た。そして、ラフィルはキョロキョロと店内を見渡しシュウ達を見つけると、側まで近付いていった。


「すまねぇ。もっと早く来るつもりだったんだが、仲間と色々と話してたんで、今の時間になっちまった」


 そう言うとラフィルはシュウの隣に座った。


「それは構いません。それより、ラフィルさん。あれから宿に戻り仲間に屋敷の警備の話をしたのですが、申し訳ありませんこの話はお断りする事にします」


「シュウ。こんないい話はねぇと思うんだがな。まぁ無理にとは言えねぇ。……だが、理由を聞かしちゃくれねぇか?」


「それは……」


 シュウは何と答えたらいいか考え黙ってしまい、それに気付いたグラディスが理由を話し出した。


「ラフィルさん。実は俺達はある人の依頼で人を探している。それで昨日、どっちの依頼を受けるか仲間と相談した……」


「なるほどな。先の依頼の方が重要だから、こっちは断るって事か」


「ああ、申し訳ないがそういう事だ」


 グラディスがそう言うと、ラフィルはハァと息を吐き、


「そういう事なら仕方ねぇな。だが、もしそっちの依頼が早く済みそうならその時は頼む!」


「ラフィルさん。はい、何時になるかは分かりませんが、間に合うような時は……」


 シュウがそう言うと、ラフィルはがっかりした表情で2人に軽く手を振り、諦めて酒場を出ていった。


「グラディスさん、すみません。先に理由を決めておくべきでした」


「いやシュウ、俺も迂闊だった。相手が理由を聞いてくるのは当然の事だ。それなのに……」


 そう言いグラディスとシュウは席を立ち金を払い酒場を後にすると、クレイ達と待ち合わせをした場所へと向かった。



 場所は戻り、クレイとマリリンはカルラに事情を話し出した。


 クレイとマリリンは予め理由を決めていた為、その理由をマリリンがカルラに話した。


「カルラさん。昨日、仲間と話し合いました。……申し訳ありませんが、この依頼はお断りします。実は私達の本来の旅の目的は、仲間の親の仇を討つ為なのです」


「そうなのですね……ではこういう事では如何でしょうか?この依頼は、その件が片付いた後という事では?」


 そう言われ一瞬クレイとマリリンはどう返事を返そうか迷った。


「……ですが、何時になるか分かりません。期待させ待たせてしまってはカルラさんに申し訳ありませんし、今すぐにでも雇える方を探された方がいいと思いますので……」


「分かりました。そこまで言われるのであれば、他をあたる事にします」


 カルラはそう言い残念と思いながら少し落ち込み気味で席を立った。


 その後、カルラが店を出て見えなくなるのを確認すると、クレイ達はシュウ達と待ち合わせをした噴水広場へと向かった。



 一方その頃リュウキ達5人は街の入り口付近でリベルドを待っていた。


「リュウキ、まだ来ないみたいなのら」


「ああ、ミクそうだな。思っていたよりも遅い」


「ふぅ、本当に来るのよね?そのリベルド……」


 クロノアがそう言いながら饅頭を食べていると、リベルドがミクを見つけ近付いて来た。


「やあ、待たせてしまい申し訳ありません。相変わらずミクは可愛いですね」


 そう言いリベルドはリュウキ達を見た後、ミクを見ると、


「ミク、来てくれて嬉しいよ。それに強そうな仲間も連れて来てくれたみたいだしね。ああ、そうそうミクから聞いてるかもしれませんが、俺の名はリベルド・エルメと申します」


「これはご丁寧な挨拶ありがとうございます。私はルナ・バイオレットと申します」


「……なるほど、虎の獣人ハーフなのですね。ですが、見た目は中々可愛らしい。それに、優しそうな声をされている」


 リベルドがそう言うとルナは困った顔になりながら、


「はぁ……あ、ありがとうございます」


「……俺は、ディアスです。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします。俺はデューマンの方と会うのは初めてですが、イメージしていたよりも優しそうで良かったです」


 リベルドにそう言われディアスは、


「……はぁ」


 と、息を漏らした。


 そのやり取りを見ながら、待っている間クロノアは饅頭を食べていたが最後の1個を一気に口に入れ食べた後、


「……私は、クロノア・ノギアよろしくねぇ」


「なるほど。強そうな名前に似合わず綺麗な方ですね。それにかなりその饅頭がお好きなようで……」


「ん?そうね。ここの饅頭は格別美味しいのよねぇ」


「ハァ、そうなのですね。それで、この中で最も強そうに見える貴方は?」


 リュウキはその会話を呆れながら聞いていたが、リベルドに言われ話し出した。


「俺はリュウキだ。それで、ミクから聞いたんだが、報酬の方はちゃんと貰えるんだろうな?」


「ええ、間違いなく報酬の方はご用意します」


「なら、話を詳しく聞こうか」


「リュウキさん。ここで話すのも何なので、違う場所でその事を話したいと思います」


 そう言うとリベルドは歩き出しリュウキ達はその後を追った。


(さて、いよいよか……気合い入れねぇとな!)

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