伝説‥68話〜談話

 ここはトパーズの街の南南東側にある建物。この建物はシェルズ城の者達に協力する者達のアジトだ。


 建物は比較的他の建物と差はなくこじんまりした作りで、どちらかと言えば真新しさはない。


 部屋も3ヶ所と簡単に調理できるスペースがあるぐらいだ。勿論シャワールームもある。



 そしてカルラ・ニキスは仲間と話をする為アジトに来ていた。


「さて、あの2人もそろそろ来る頃かしら。」


 そう言いながらカルラは3人分の紅茶とお菓子の準備をしていた。


 すると部屋にラフィル・コルドが入ってきた。


「ん?カルラいつもお前は早えな。」


「ラフィル。やっときたわね。」


「ああ、それより、リベルドはまだ来てねぇみてぇだな。」


「ええ、まだみたいですわね。」


 そう話をしていると扉が開きリベルド・エルメが入ってきた。


「やぁ、相変わらず2人とも早いな。」


「リベルド、やっときたみてぇだな。何処かで道草でもしてた訳じゃねぇよな?」


「ん?ん〜道草って訳じゃないけど。凄く可愛い子と街の入り口で会って話してた。その子は仲間と旅をしてて、その仲間が強いらしいんだ。それでさ、その子にその仲間を紹介してもらおうと思ってるんだけど、その子の話しだと、聞いてみないと分からないって言ってたから、その事の返事を聞く為に、明日またその子と街の入り口で会う事になったんだ。」


「そうなのね。先程、私も強そうな旅の方を見かけ声をかけたのですが、仲間と旅をしていると言っていました。それで私達に協力してくれるか仲間と相談したうえで明日その返事をしてくれると言っていました。」


「ほお、カルラもリベルドも収穫あったみてぇだな。まぁ、俺も酒場の近くで強そうな2人組と会ってな、俺達に協力してくれねぇか、って誘ってみた。だが、他にも仲間がいるらしく、そいつらに聞かねぇと分からねぇって事で明日酒場で会う約束してきたんだがな。」


「なるほど。そっちは何人になりそうなんだ?俺の方はその子入れて5人になると思う。」


「そうね。……私の方も5人だったと思うけど。」


「ん?こりゃ偶然だな。俺も5人になりそうだ。」


「本当偶然ね。それはそうとリベルド。この前ラフィルと話したのですが。これは確認なのですが。本当に勧誘した人数分の報酬はもらえるのよね?」


「ああ、間違いなくもらえるはずだ。」


「それならいいんだが。どうも手元に報酬をもらってねぇと疑いたくなるんでな。まぁそれよりリベルド、あの方からの指令が来たから、集合かけたんだろう?」


「ああ、そうなんだけど。何か計画を少し変更しないといけなくなったらしい。」


「それはどういう事なんだ?それにどう変える?」


「今までの計画のままなら、オパール城と関係のあるあの女エイリスをあの屋敷に監禁して、この街や他の街に掛けられた重税をなくしてもらう為、脅しを掛ける手筈だった。」


「ええ、そうだったわね。」


「だけど、あの方の話しだと、その計画の一部がオパール城と関係する何者かにより阻止されたらしい。」


「なるほどな。それで、その計画の策を少し変更するってぇ事か。」


 そしてリベルド達はその話をしながら、カルラが用意した紅茶とお菓子を食べていた。



 場所は移り、ここはトパーズの街の宿屋。シュウ達はあれから宿屋に戻り部屋で話をしていた。


 ミクはジルベイムの屋敷で調べてきた事を話した。


「……そうか。エイリスは、やはりアイネの言う通りジルベイムの屋敷に監禁されていたか。」


「うん、そうなのら。それと、簡単な見取り図を書いてきたのら。」


 そう言うとミクはジルベイムの屋敷の大まかな見取り図を広げた。


「流石ミクだな。これもシーフのスキルを使って書いたのか?」


「うん、シュウそうなのら。」


「ん?これを見る限りやと、結構広い屋敷みたいやな。」


「本当ね。ねぇミク、エイリスさんは2階のこの印が付いている所にいるのかな?」


「マリリンそうなのら。だけど、その部屋の前には強そうな人達がいたのら。」


「そうか……どうする?リュウキ達を待ってから行動するか?それとも、待たずにエイリスさんの救出に向かうか?」


「エイリスの救出を直ぐにでもしたいが、もう少し内部の状況が分かれば良いんだがな。」


「ああ、確かにそうだな。……ん?そう言えば、今日ラフィル・コルドに協力してくれないかと声を掛けられた。その返事は明日する事になってる。」


「ほお、シュウとグラディスさんもか。俺とマリリンもさっきカルラ・ニキスに誘われたで。」


「そっかぁ。私もさっきリベルド・エルメって人に声を掛けられたのら。明日ね、協力してもらえそうなら皆を連れてきて欲しいって言ってたのら。」


「なるほど。余程屋敷を厳重に強化したいらしいな。だが、協力するにしてもシュウとクレイとマリリンはジルベイムに顔が割れている。」


「確かにな。そうなると俺とクレイとマリリンは、断った方がいいよな。」


「ああ、そうだな。だが、これは中に潜り込むチャンス。他に方法があればいいんだが。」


「ん〜、リュウキとクロノアがここにいれば良かったのら。そうすれば、人数もいい感じになるし……それにリュウキならいい方法思いつくかもなのら。」


「確かにそうかもしれん。だが、ここにリュウキはおれへん。」


「そうだな。テレポートの魔法を使えばリュウキとクロノアを連れてくる事は可能だが、直ぐには無理かもしれない。王の許可が必要になるだろうからな。」


「そっか。ん〜、でも、その方法が良いかもしれない。下手に動くよりもな。」


「でも、シュウ。明日その返事せなあかん。どうするんや?」


 そう言われシュウは少し考えた後、


「そうだな。クレイとマリリンは断ってくれ。俺も断ろうと思う。それで、グラディスさんはミクとリベルドの方に向かって欲しい。」


「それは構わないが。リュウキとクロノアはどうする?」


「グラディスさん。急で申し訳ないですが、直ぐに城に向かう事はできますか?」


「出来ない事はないが。なるほど、今すぐに城に行き許可をもらい。リュウキとクロノアをここに連れてくるという事か。」


「すみません。お願いします。」


「かなりハードな要求だが、その方法しかないならやるしかないだろう。だが、直接は王に会えない。まずはナルザス様に会いこの事を早急に伝えてくる。」


 グラディスはそう言うと、軽く手を振り笑みを微かに浮かべ、テレポートを使いナルザスがいるオーパル学園の寮へと向かった。


 そしてシュウ達は、グラディスが戻って来るまでの間、作戦を練る事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る