第214話 久々にエリーの家

「ヘンリー! 約束でしょー! イロナちゃんの研究の成果を見てよぉー!」


 今日は父さんとパメラのコンビのおかげで精神的に疲れたため、メリッサの美味しいご飯を食べ、温かいお風呂に入って早く寝ようと思っていたのだけれど、冒険者ギルドから帰って来た所でイロナに捕まってしまった。


「えっとねー、この緑色の花はエメラルドオーキッドって言ってねー、花粉に感覚を失わせる効果があるんだよー」

「感覚を失わせる? どういう事?」

「うーん、簡単に言うと麻酔って言ってー、一時的に痛みを感じなくさせたり出来るんだー」

「ふーん……って、それ、何か危なくないか?」

「危なくは無いよー。ただ、効き過ぎると意識を失ったりしちゃうけどー」


 いや、それはダメだろ。

 危ないし、そもそも使い道がない。

 感覚や痛みを失うって事は、斬られたり殴られたりしても痛くない……不死身の戦士? 反動が凄そうだ。

 待てよ。感覚を失うって事は、誰かのお尻に使用すれば、いくら触っても気付かれない。

 俺は触れて嬉しいし、使われた側も触られた事に気付いて居ないから、何にも気にならない……Win-Winになるな!


『なりませんよっ! というか、その使い方は何ですかっ! 私の故郷では、麻酔といえば医療で使われていたというのに』

(医療? 何かの回復魔法で必要なのか?)

『そういう訳では無いんですけどね。まぁ魔法が発達していない地域では、重宝されるという事です』


 何にせよ、不要かな。

 栽培した所で、需要が無ければ意味が無いし。


「あとねー。こっちの赤い花はクリムゾンオーキッドって言ってねー、花粉に幻覚……」

「いや、そっちは良く知っているから、いいや。前に、凄く酷い目にあったんだ」


 あまり思い出したくないけれど、この花粉の幻覚作用を思いっきりくらって穴に落ちかけたり、ルミのちっぱいに顔をダイブさせかけたり……人として、物理的にも社会的にも死ぬ所だったよ。

 それに、この花粉からエロ薬が作れるって情報を得て、早速作ってソフィアに飲ませてみたけど、普段と言動が変わらなかったからな。

 とにかく、この花には関わらない方が良い。それが俺の結論だ。


「じゃあ説明は省くけどー、ここの土地はオーキッド系の花と相性が良いのかもしれないよー」

「でも、ダメだな。どちらも特産品には出来ないだろうし」

「そうかなー? 確かに普通の人にはあんまり馴染みがないけどー、しかるべき所へ持って行けばー、それなりの値段で売れると思うんだけどなー」

「その、しかるべき所のツテも無いし、違う方針で行こう。悪いが、もう少し違う方向で調べて貰っても良いか?」

「んー、まぁヘンリーがそう言うなら仕方がないねー。分かったー。イロナちゃん頑張るー!」


 イロナと話した後は、予定通り食事と風呂で、ベッドに入ってからはジェーンがやってきて……今日もありがとうございますっ!


……


 翌朝。

 夢の様な寝心地でリフレッシュした俺は、朝食を済ませるとエリーの家……というかエリーの部屋へ。

 お母さんの看病が大変なエリーに、出来るだけ迷惑を掛けないようにと、ユーリヤをジェーンにみてもらい、一人でやって来た。

 久々にエリーの部屋に来たけれど、朝早くに来過ぎてしまったらしく、エリーはベッドの中で静かに寝息を立てている。

 薄い毛布との共に、ゆっくりと上下するエリーの控えめな胸を眺め、


――これ、今なら触ってもバレないんじゃないか?――


 大きなチャンスだという事に気付いた。


『サイテーですっ! お母さんの看病で大変そうだって考えていたんじゃなかったんですかっ!?』

(いや、それはそうなんだけど、目の前に胸があったら触りたくなるだろ?)

『なりませんよっ! それに、昨日もジェーンさんの胸に顔を埋めてましたよね!? 思いっきり触ってましたよね!? ジェーンさんだけじゃなく、ノーマさんまでもっ!』

(うん。でも、せっかく触れるのなら、触っておきたいよね)


 一先ずアオイの言葉を聞き流し、静かにそっと毛布の上からエリーの胸を触ってみた。

 ……が、毛布の上から触っているからか、はっきり言って毛布の感触しかない。

 まぁ当たり前と言えば当たり前なんだけど、流石に毛布の中へ手を突っ込むのは、リスクが高過ぎる。

 あ! だったら、毛布を胸の下まで捲ってしまえば良いじゃないか。

 意外と早く解決策に辿り着き、早速毛布を胸まで捲った所で、思いっきりエリーと目が合った。合ってしまった。


「……ハー君?」

「お、おぅ。エリー、おはよ」

「ハー君だっ! ハー君っ! エリーにやっと会いに来てくれたんだねーっ! 会いたかったよーっ!」


 起きてすぐだというのに、涙を目に浮かべたエリーに抱きつかれ、流石に申し訳ない事をしてしまったと反省しつつ、小さな身体を抱き止める。

 うむ。ノーマより、僅かにエリーの方が胸が大きい。

 毎晩ジェーンやノーマの胸に触れているからか、エリーの胸には触ってないけど、抱きつかれた感触である程度の大きさが分かるようになってしまった。


『お父さんと同じ様なスキルを得ましたね。流石です』

(前言撤回っ! 俺は女性の胸の大きさなんて、分からないからっ!)


 エリーが落ち着くまで、その感触を暫く楽しみ――もとい俺の胸を貸し、本題を切りだした。

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