第7話:衝動



今すぐ、抱き締めたい―――そんな衝動が走り。


『・・・っ』


抱き締めたかった。 ・・・けれど。


右手をギュッと強く握り締めた。


どこか遠くを眺め、何を視ているのか分からない瞳を浮かべる彼女の姿に。


―――自分は、何も言えそうにない。


現に。 何も、言えなかった。


彼女のうれいを晴らすのは、別の人物なのだと・・・そう、思えてしまったから。

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