Don't look so sad.

ぽむら

第1話:揺れる



『人というのは、どうしたってフラフラして揺れてしまう性質なのね』


『・・・さが、かしら?』


 フフ。 少し、鼻に抜けたような笑い。


 見れば、目の前の女の口元は笑む形を型取かたどり。


 さがかしら―――そう呟く声は、深みのある音を奏で、妖艶ようえんさをどこか帯びさせている。


『じゃあ、いっそのこと思う存分、フラフラすればいいじゃないか』


『そう思っていた頃もあったわ』


『今は?』


『・・・この人だから。


 そういう材料を探して辻褄つじつまを合わせようとしているんだわ』


『・・・?』


『違うのよ。恋愛だけじゃあ、ないの』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る