分解

 家に帰るなり、言葉にならないことを叫んで、カバンを投げた。ゴムを引き抜いて髪を解くと、ピアスを外すのが面倒になって耳ごと外す。そうしたらヤケクソになって、右腕を引っ張り、両足を蹴り飛ばして、左腕はドアに引っ掛けて、自分で自分をバラバラにした。床に転がると、天井が高い。小さな人形に戻ったのだ。思わず、ほっと息が漏れた。そのとき、最後までここにあった何かが、すぅっと私から離れたのがわかった。



---

2019.08.25 22:01

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る