《 八月十六日 》 1
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八月十六日 午前八時三十分
大和北署の捜査本部に、同署鑑識班部屋で作業をしていた本部鑑識課課長の山辺警部は、部下の下田巡査部長と報告があると、声を弾ませてはいってきた。それを聞いて、捜査第一課10係の安田警部補は、全捜査員を招集した。
課長の山辺警部は次のように話はじめた。
「捜査員の皆さんが、足で稼いで回収をしてくれた、防犯カメラの映像とタクシー等に搭載されていた、ドライブレコーダーの映像を、もう一度すべて見直しました。」
と、言って。
一枚のプリントされた証拠写真を、ホワイトボードに貼りつけた
下田巡査部長は、こうつづけた
「ここに写っている、自動車の写真は、坂口浩介が乗っているチェスターの写真です。これは、対向車線を走っていたタクシーのドライブレコーダーから抜粋したものです。」
つづけて
「これは、七月二十日に横浜市瀬谷区で起きた事件の時のものです。犯行現場の付近で撮影をされたものではないのですが、坂口が運転する様子が一瞬の太陽の光線で、はっきり写っていました。そして、この時チェスターに付けていたナンバープレートは、本来登録してあったナンバープレートではなく、不正に入手された思われるナンバープレートでした。」
「そっか~。」
と、安田警部補は、うなずきながら声をあげた。
下田巡査部長は、つづけて
「そうなんです。不正に入手されたと思われるナンバープレートを付けて運転をしていた事実がここに写っています。これをもとに、捜索差押許可状と逮捕状を請求できると思われます。」
と、報告した。
あらためて、写真を見ると
ナンバープレートは
八王子501 し 633
坂口浩介の顔も、ハンドルを握っている手も、ナンバープレートもばっちり写っていた。
捜査員からの歓喜の声が、会議室を埋めた。
そして、安田警部補は
「これで坂口浩介の自家用車とアパートの家宅捜索ができる。山辺警部、下田巡査部長、あらためてお礼を言います。ありがとうございました。」
と、頭をさげた。
それをみて、他の捜査員も頭をさげた。
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