番外編

Adieu.

 わたし、あなたに対して「愛してる」って言葉しか思いつかないわ。事実そうだもの。


 ずっと探していたトクベツに出会えたら、きっと、すらすらと綺麗な言葉が出てくると思っていたのに。……あなたに伝えたいことは、「愛してる」……ただ、それだけだった。どんなに飾り付けても、何かが違う。それだけ届けたかった。あなたの心の、ずっと、ずうっと奥底まで。




 分かってる。わたしがばらまいたニセモノの「愛」のせいね。だからホンモノすらチープに成り下がってしまった。自業自得。当たり前のこと。……わたしは愛されたかっただけ。トクベツな誰かを探していただけ……。……あなたには、きっと分からない。……わたし……本当に何も持ってなかった。


 あなた自身が、望んでいたすべてを与えてくれた。わたし、これでも勉強したの。あなたが好きそうなモノ、コト、いろいろ。




 いつもいつも、口を開けば別のことばかり。ねぇ、いつになったら……「わたし」を見てくれる? 「わたし」を愛してくれる?


 いつまで待ったらいいの。あなたのその手が、その瞳が、憎らしくなっていく。愛しているのに、……違う。愛しているから、憎くて仕方ない。……すべて、奪ってしまいたくなるくらい。壊してしまいたいくらい。




 分かってる。誰にでも愛されるような女は、誰からも愛してはもらえない女と同じ。これも、自業自得。

 ……さようなら。愛しい人。


 心の底から、愛していたわ。

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