売れっ子官能小説家は超絶美少女JK(Job Known)だった?

小鳥遊凛音

第一巻・・・実は私、官能小説家・・・なんです・・・

♪キーンコーンカーンコーン




私立 古都宮(ことみや)高等学校

景色が良い街に建てられている全校生徒500名が通う個人を尊重する事を重要視している生徒達からも愛される学校・・・

そんな学校で生徒達の個性が幅広く開花させれており、これ迄に、歌手や各方面で活躍するアーティスト、有名な著名人等を輩出して来たのも大きな特徴である。



私の名前は、八鬼人空 食多郎 (やきにく くうたろう)、いえ、違う・・・これはペンネーム、私の本名は、香波 愛華(かなみ あいか) この私立 古都宮高校2年C組のごく普通の・・・そう・・・学校では・・・ごく普通の生徒・・・うん!嘘なんて付いてないよね!




「お~い!ぼ~っとしてどうした~?」


愛華「へっ!?あっ!青葉君?どうかしたの?」


青葉「いや、お前疲れてんじゃないのか?最近よくぼ~っとしてるし・・・」


愛華「ううん!大丈夫!いつもこうだから安心して?」


青葉「いつもってお前な・・・」



青葉 智也(あおば ともや)君私のクラスの男子生徒・・・よく私の事を気に掛けてくれるんだけれど、学校のイケメン男子の部でナンバーワンを獲得する程の美形生徒!何やら雑誌のモデルもやっているとか・・・そんな彼が私によく話掛けて来るのが不思議で仕方が無い・・・何せ私は学校では・・・そう、学校では!何を隠そう、地味っ子キャラでやっているから!!あっ、メガネの三つ編み少女風で・・・



智也「なんつーかさ、お前を見てると心配になるんだよ!色々と・・・」


愛華「えっ!?心配って?」


智也「よくドジるだろ?さっきも廊下で何も無い所で躓(つまづ)いたり、自販機からジュース取り出す時に手が抜けなくなったり・・・」


愛華「いっ、いや・・・何と言うのか・・・面目無いと言うのか・・・」


智也「まあ、そう言う所も含めてお前らしくて良いと思うんだけどさ?」


愛華「青葉君・・・」



そう・・・彼は優しい・・・優しいが故、こう言う状況を見られてしまうと後々面倒と言うか・・・色々と勘繰って来る子がいるんだよね?・・・




「あら、智也?今日も香波さんと仲睦まじいけれど、もしかして香波さんに気があるのかしら?」


智也「いや、待て、夏葉?特に気があると言う訳では無いけどさ・・・お前の言い方ってどうしてそう、とげが刺さった様な物言いなんだよ?」


夏葉「いえ、別に?私はいつもこうよ?おかしいかしら?」


智也「いくら幼馴染だからって少々荒くは無いか?」


夏葉「あまり下の名前で呼ばないでくれない?付き合ってもいないのに付き合っているみたいに見られちゃうでしょ?」


智也「・・・・・わぁ~ったよ!涼原さん!!」


愛華「あ・・・あはははは・・・(苦笑)」



青葉君と涼原さんは幼馴染で、家も近所みたい。このやり取りを見ているときっと涼原さんは焼き餅を焼いているんだろうな・・・だって明らかに涼原さんって青葉君の事が好きなんだよね!?確かにこれだけ出来る男で学校中のアイドル的存在の幼馴染を奪われたく無いって誰でも思っちゃうよね・・・・




帰宅・・・




愛華「只今~♪」


茜「お帰り~♪夕飯迄時間があるから出来たら呼ぶから♪」


愛華「うん♪今日のご飯は何かな?」


茜「愛華の好きな私特製、ヘルシーチキンカレー(野菜多め)だよ♪」


愛華「わぁぁぁぁ♪ありがとうお姉ちゃん♪」




香波 茜(かなみ あかね)・・・私の3つ歳上のお姉ちゃん。小さい頃から大事にされて来たいわばシスコン?でも料理も家事も得意で色々と憧れている素敵なお姉ちゃん♪

両親は事業を起こしている商社のビジネスマンで海外へ長期出張の為、あまり日本へ帰って来る事が少ないので少し寂しいかな・・・でもお姉ちゃんもいるし、私には・・・




愛華「さて、今日は何を書こうかな?」




夕飯迄に時間が少しあるので私は自分の部屋に行ってパソコンを起ち上げた・・・



WEB小説Read&Write・・・国内最大のWeb小説サイト。読者や作者が多数集う今流行りのWeb小説サイトである。



愛華「う~ん・・・一応この間の作品も無事完結して書籍化の話も頂いているし・・・今日は短編小説でも書いてみようかな?・・・あっ!?レビューがある!!この間の短編作品のだ!!何だろう?」



「八鬼人空先生の作品は全て拝読して来ましたが、先生の多種多様な設定、シチュエーションが僕は凄く好きなのですが、この「インモラルな三角関係」と言う作品も今迄先生の書いて来られなかった背徳的なストーリー展開でとても新鮮で驚愕させられました。今後も様々な展開の作品を手掛けられると思いますが頑張って欲しいです!・・・・・・・PN/TA八鬼人空大ファン」


愛華「うん!TAさんか♪いつも私の作品読んでくれて色々とコメントやレビューくれる人だよね!本当に嬉しいな♪こう言う感想を読むと意欲が凄く沸いて来るもんね♪もっと頑張らなくちゃ!」



♪~~~



愛華「あれ?電話・・・丸川書店の担当さんからだ!・・・はい、もしもし?」


秋月「もしもし、先生ですか?お疲れ様です。秋月ですが、今お電話宜しいですか?」


愛華「はい、お疲れ様です。大丈夫ですが・・・何かありましたか?」


秋月「今度の土曜日のお昼から先生のサイン会を考えているお店からオファーがありまして、次に出す新刊のキャンペーンを兼ねてと言う事で急遽決まってしまいまして、当日は空いていますでしょうか?」


愛華「えぇっと・・・今週の土曜日ですね?はい・・・今の所予定はありませんが、私が行って良いのでしょうか?」


秋月「はい、特に問題ありません!先生の小説はギリギリ18禁には入らない部類に当たりますので特に女子高生だと言う事がバレても大丈夫かと思いますが、先生がどうかと言う所ですよね?」


愛華「あっ!私は大丈夫です!学校と違うスタイルで行きますので♪」


秋月「あぁ・・・助かりました!折角の大チャンスですからね♪もっと先生の名前を世に広められる様誠心誠意で尽くさせて頂きますね!では、当日朝8時にお迎えに参ります!」


愛華「はい、宜しくお願いします♪」




初めてのサイン会か・・・って私サインなんて書いた事無いし、どうしよう?練習しなくちゃ・・・やっぱり皆私の事八鬼人空 食多郎とか男だろうなって思っているでしょうし・・・女の子らしい感じで可愛いイラストとか添えて書いてみようかな?




サイン会当日・・・




♪ピンポーン




茜「は~い」


秋月「お早う御座います。お世話になっています、丸川書店の秋月ですが、愛華さんは?」


茜「あぁ、秋月さん?聞いています!一先ずお入り下さい?」


秋月「はい、失礼致します。」


茜「妹は今、準備中ですので少しお茶でも飲まれてお待ち下さい!」


秋月「あっ、お構いなく・・・」


茜「最近、愛華の方は如何ですか?新刊が出るとか耳にしていましたが、まさかサイン会迄して頂けるなんて♪」


秋月「もう、本当に愛華さんは凄いですよ!現役の女子高生であれだけの内容、短期間での作品数の多さ、それによって内容に悪影響が出る事も無く、どの作品も生きていますし、人気も右肩上がりですよ!」


茜「愛華もまだ大人になり切れていない感じだったから最初担当さんが女性の方だって知った時凄く喜んでいました。とても気に掛けて下さる良い方だってよく言っていましたし!」


秋月「いいえ、とんでも無いです。私の方こそ、愛華さんの担当になってから大分肩の荷が下りています。割と締め切りに間に合わない作家さんはいらっしゃるのですが、愛華さんの場合は、逆で締め切りより大分早く仕上げて下さって、他の案件等も考慮して下さるので本当に私としても最高の逸材だと考えております。」


茜「その様に言って下さると愛華も増々意欲が沸いて来るのでは無いかと思います♪」


愛華「ごめんなさい、お待たせしてしまったみたいで・・・」


茜「あら、愛華、今日はまた一段とお茶目ね♪頑張って来なさいね?」


愛華「うん、ありがとうお姉ちゃん♪」


秋月「美しい・・・」


愛華「えっ!?どうしました?秋月さん?」


秋月「いえ・・・先生、ひょっとしてモデルとかも出来るのでは無いかな?と・・・」


愛華「いっ!嫌ですよ。そんなに褒めないで下さい・・・恥ずかしいですし・・・」


秋月「あっ!失礼しました。では、そろそろ行きましょうか!?」


愛華「はい!今日は宜しくお願いします。」




サイン会場・・・・・




秋月「無事に到着しましたね!今日はこの書店様の5階のイベントスペースで書いて頂きますが、10時ですが、既にファンの方が200名程集まっています!」


愛華「えぇっ!?そんなに!!・・・ですか?」


秋月「先生はあまりファンの方に直接お会いする機会が少ないと思いますので驚かれるのも無理は無いかと思いますが、これでもほんの一握りにも満たないですからね!場所も限られているエリアですし・・・」


愛華「改めて影響の大きさを感じました・・・」


秋月「恐らく、デビューされてから先生が女の子だと言う事は誰も知らないと思います。今日ここに集まっているファンの方は恐らく全員先生の事を男性だと思い込んでいる事だろうと思います!」


愛華「あぁ・・・やっぱりですか・・・あのペンネームは止めた方が良かったかな?」


秋月「何を仰るのですか!!あの様な名前だからこそ!今日来たファンの方が衝撃を受けて尚一層知名度が上がるものです!そう言った意味で今日のサイン会は先生の正体が分かる重要な日となっているのです!」


愛華「そっ、そんなにオーバーな感じじゃなくても・・・良さそうな気が・・・」




書店スタッフ「先生方、今日は急遽お招き頂く運びとなりまして、申し訳ありませんでした。それから快く引き受けて下さり厚く御礼申し上げます。」


秋月「いえ、今回のサイン会は八鬼人空 食多郎先生の初のサイン会で、先生の正体も発覚すると言うサプライズが裏で用意されている貴重な機会なのでこちらの方からむしろお礼を申し上げたいくらいです!」


書店スタッフ「では、そろそろお時間ですので、会場の席の方迄ご案内致します。今日は宜しくお願い致します。」


愛華「あっ!こちらこそ・・・宜しくお願いします。」




MC「では、八鬼人空 食多郎先生が準備出来た様ですのでお迎え致しましょう!皆さん、拍手でお迎え下さい!それでは、八鬼人空 食多郎先生、宜しくお願いします♪」



♪パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ



「おい、嘘だろ!?女の子!?」


「えぇ!?代理か?八鬼人空 食多郎先生って男じゃなかったのか!?」


「これは歴史に残る伝説となるな!!」


「・・・・・おぃおぃ、マジかよ!」



秋月「皆さま、こんにちは!本日は弊社、丸川書店の新人官能小説大賞グランプリを獲得し、様々な作品を手掛けられている・・・今、注目の新人小説家である八鬼人空 食多郎先生による記念すべき最初のサイン会となるこの地にお集まり頂きましたファンの皆さま、本当にありがとう御座います。今色々とご反応を頂きました通り、八鬼人空 食多郎先生、実は現役の女子高生作家だったのです!では、先生からもご挨拶を!」


愛華「あっ・・・皆さま・・・ほっ、本日は・・・私なんかのサイン会にお集まり頂いて・・・本当にありがとう御座います・・・私のペンネームは凄く変で・・・皆さんが男性だろうと思っているだろうなと最初の頃からずっと思っていましたが・・・こう言う場を下さる事なんて考えもしていなくて・・・何と言うか・・・ごめんなさい・・・」


「先生!可愛い!~」


「頑張れ!!」


「むしろギャップ萌え~!!!」


愛華「あぁ・・・ありがとう御座います♪今日はここへ来てくれた、私のファンの皆さまの為に一生懸命サインを書かせてもらいますね♪だから時間が掛かってしまうかもしれないですけど、待っていて下さい♪」



♪パチパチパチパチパチパチパチパチ



秋月「えぇ~、では皆さま、今からサインを先生に書いて頂くのですが、皆さまのお名前も先生に書いて頂きますので書いて欲しいお名前を先生にお伝え下さい!握手等も今回はお受け致します。後、簡単に先生へ向けた応援メッセージ等も仰って下されば先生の活力にもなりますので宜しければお願い致しますね。」



「何だか、担当編集さんなのかな?先生も凄く可愛いけどさ、あの人も綺麗だよな!」


「そうだよな!こんな美人が書いてるとか知れて凄く嬉しいしな!」


「ねぇ、女の子って私たちだけかと思ったけど、割と多いよね?」


「そうだよね♪最初官能小説だからむさい男だけかと思って気が引けたけど、作者が女の子だし他にも女の人もいるしかなり見る目が変わったね♪」



秋月「では、順番に左前の方からお願いします。」



ファンA「えっ・・・と、男性作家さんだと思い込んでいましたが現役女子高生だと知り驚きました!これからも応援していますので頑張って下さい!・・・名前は「松ぼっくり」でお願いします!」


愛華「松ぼっくりさんですね?分かりました!いつも応援ありがとう御座います♪新刊も是非読んでくれたら嬉しいです♪」


ファンB「私、女の子ですが、ここに来るのが怖くて、男の人ばかりだと思っていたんですが、女性ファンの方も結構いらっしゃって、おまけに先生が女の子だったなんて凄く嬉しくなって・・・今後も応援してますので頑張って下さい♪名前は「翔子」でお願いします♪」


愛華「はい・・・私もこのジャンルを書いている時に女性作家さんって他にいるのか不安だったのですが、ファンの方も女性の方が結構いて下さるのでとても励みになりました♪ありがとう御座います。「翔子」さんですね♪」


ファンC「Web小説の初投稿した時から読んでいます。凄く内容が深くて、引き込まれるみたいにス~っと・・・どうして官能小説を書く様になったのか分かりませんが、又最初の様な純愛ストーリーやコメディータッチのある作品も読んでみたいです!先生が女の子だって・・・驚きましたが・・・俺も高校生なので、もっともっと先生の事応援したいです!先生の作品読んで色々と自分の価値観や考え方に凄く影響もしています。これからもどうか頑張って下さい!・・・名前は・・・TA八鬼人空大ファンで・・・」


愛華「わぁぁぁぁ!!私の最初の投稿からずっと追いかけてくれていたのですね♪凄く嬉しいです♪同じ高校生の男の子が・・・私も凄く励みになります。いつも本当にありがとう御座います。又最初に書かせて頂いた様な作品も是非書いてみたいと思います・・・お名前は・・・あっ!!いつもレビューとか感想くれている方ですね!!本当にありがとう御座います♪いつも読ませて頂いて意欲にしているんです!!これからも頑張るので見ていて下さいね!!あっ、ごめんなさい、私、今日もしあなたがここへ訪れてくれたらと思ってあり得ないかもしれないとは思っていたのですが来てくれたからこれ・・・もらってくれませんか?いつも応援してくれて、最初の方からファンでいてくれた方にお渡ししたいと思って・・・」


TA「えっ!?このペンダントを俺に!?良いんですか?俺なんかに・・・」


愛華「内緒ですよ?他の人達がいるのであまり大きな声では言えませんが・・・いつもありがとう御座います♪」


TA「一生の宝物にします!いや、毎日身に着けますよ!本当にありがとう御座いました。」




(そうか・・・私の最初の方から作品のレビューや感想をくれている人がまさか同じ高校生だったなんて!他の人の意見とは違った、本当に私の作品を愛してくれている感じが伝わって来る内容で・・・今もこうやって他の人とは違った意見をもらえた・・・嬉しい♪素直に嬉しい・・・でも顔が帽子で隠れていてはっきりと分からなかったのが残念だな・・・)




(まさか、憧れの小説家の先生が同じ高校生で女の子だったなんて、俺も動揺が隠せないけど・・・今日は本当に貴重な一日だったな・・・しかも先生から直接プレゼント迄もらえて・・・これは宝物だよ!絶対に肌身離さず着けておこう!)





秋月「先生、今日はお疲れ様でした。サイン色紙に名前だけじゃなくて可愛らしいイラストも付けてくれたってかなり評判がありましたよ♪私も意外なサプライズで驚きました!」


愛華「いえ・・・何て言うか、私も男性っぽい名前なのに名前だけ書いてたら雰囲気がそのままになっちゃうだろうなって思って少しだけアレンジしたかったなって思ったんです♪」


秋月「やはり先生は凄い人だと思います!」




帰宅後・・・




茜「愛華?今日はどうだった?」


愛華「うん、300人位来てくれたよ?凄いよね!あれでも一部の一部だって秋月さんが言ってたし・・・」


茜「うわっ!そんなに来たの!?それで愛華は全員にサイン書いたのよね?」


愛華「うん♪時間掛かっちゃったけどね?それに、私が素人で投稿していた最初の方の頃からレビューや感想をくれていた人が来てくれていてね・・・その人も私と同じ高校生だったんだ♪」


茜「そうだったの!?素敵な出会いね?自分のファンが同じ高校生って!しかもデビュー前からファンだったんだね♪」


愛華「うん♪凄く嬉しかったよ♪」




こうして、無事にサイン会を終え、帰ってお姉ちゃんと色々と話をする事も出来た♪




週が空けて学校にて・・・


愛華「あぁ・・・土曜日は良かったけど、日曜日に土曜日に少し書きたかったものが書けなかったから少し頑張ってみたからあまり眠れなかったよ・・・ふぁぁぁぁ~・・・眠い・・・」


「ねぇ、愛華?寝不足?あんた又ゲームとかしてたんでしょ?懲りないわねぇ?」


愛華「あぁ?恵か?お早う・・・うん、ちょっとね・・・最近気に入っているゲームやってるの!結構嵌るよ?」


恵「私も少しやってるのあるけどさ、徹夜して迄やりたくないな・・・」



氷野 恵(ひのめぐみ)・・・私の中学校からの友達、結構言いたい事をスパッと言うタイプだけど、嫌味があまり無く、ナチュラルな感じ・・・よく一緒に話をしたり帰ったり・・・遊んだり・・・良い友達だと思ってる♪



智也「それでさ・・・中々出て来なくて俺もお手上げ状態で・・・」


♪キャハハハハハ


圭太「女子受け過ぎ!俺もやりたくてやった訳じゃないからな!!」


智也「って・・・あれ?香波?寝不足か?顔色悪いじゃん?」


愛華「あっ・・・青葉君・・・大丈夫・・・ちょっとゲームしてたから寝不足で・・・」


智也「又ゲームか?お前も懲りないな?そんなに夜更かしばかりしてたら綺麗な顔が台無しになるぞ?」


愛華「えっ!!?今何て?・・・」


智也「いっ、いや・・・深い意味は無いぞ?お前ってそうやって如何にも地味子みたいな格好してるけどさ・・・元が良いのは分かるんだよ!だからだな・・・」


愛華「青葉君・・・・・」


智也「忘れろ!!今言った事は忘れるんだ!無かった事にしろ!・・・なっ?」


愛華「うっ・・・うん・・・分かった・・・」



(何か今凄く嬉しい事言われた気がした・・・でも青葉君が忘れろって言ったから忘れよう・・・うん・・・今のは無かった事だ!)




夏葉「あら?智也?あなたネックレス新しいやつ着けたの?」


智也「えっ!?あっ・・・あぁ、そうだよ!ちょっと今迄のやつとか飽きて来たし・・・」


夏葉「どうせ、どこぞと知らない女から貰った物でしょう?そんな安っぽいものわざわざ喜んで着けているだなんて笑えるわよ?」


智也「五月蠅い!!お前に何が分かるんだよ!!これは大切な物なんだよ!!」


夏葉「えっ!!?・・・・・あっ・・・ごっ・・・ごめんなさい・・・私そう言うつもりで言ったんじゃ・・・」


智也「お前は少し人の気持ちを考えて発言した方が良いぞ?そうやってツンケンしていたら誰でもお前から引いて行ってしまうぞ?」


夏葉「ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・だからお願い許して・・・私、本当は・・・」


智也「もういい・・・お前とは当面話をしたくない。俺に声を掛け無いでくれ・・・」


夏葉「そっ・・・そんな・・・智也?」


智也「・・・・・・・」


夏葉 (どうして?・・・いつもそんな真剣な目をして怒ったりしなかったのに・・・何かあったの?・・・そのネックレスってそれ程大事な物だったの?・・・)


圭太「おい、智也っ!智也?・・・って帰っちゃったよ・・・まあ、放課後だし良いけどさ・・・確かに涼原の今の言動は少々お節介が過ぎたかもしれないな?ちゃんと謝っておけよ?智也があんなに血相変えて怒るとこ今迄見た事無かったからな?」


夏葉「えっ・・・えぇ・・・智也があんなに真剣に私に対して怒った事なんて今迄一度も無かったわ・・・謝らなきゃ・・・ちゃんと・・・私がそう言うつもり無かったって・・・」


愛華 (ちょっと待ってよ!!!あのペンダントって確か私があげたやつじゃ?・・・見間違えかな?はっきりと見えなかったけど、確かあのイルカの様なデザインが付いているのって・・・)




帰宅後・・・




愛華「やっぱりそうだ・・・あの人のハンドルネームの「TA」の部分って「智也・青葉」・・・恐らく私の推測が正しければ彼が私のファン1号君?」


茜「愛華ぁ!ご飯出来たから下りて来て?」


愛華「うん、今行く~!」




茜「今日はパスタにしてみたの?どうかしら?」


愛華「わぁぁ♪美味しそうだね♪私タラコスパとか大好きだもん♪お姉ちゃん、いつもありがとう♪」


茜「ううん、あなたは私の妹だからそんな事気にしないで!」


愛華「頂きます!・・・うん!美味しいよ♪硬さも丁度良いしやっぱりお姉ちゃんってお料理が上手だよね!寄って来る男の人も多いでしょ?」


茜「嬉しいけれど、高く評価し過ぎよ?私、それ程モテないし・・・」


愛華「私が男の子だったら絶対に放っておかないけどなぁ♪」


茜「あなただって色々と才能持ってるじゃない!浮ついた話とか年頃だしあってもおかしくないでしょ?」


愛華「私も学校じゃ地味子で通ってるからあまりそう言う話は無いよ・・・告白もされた事ないし・・・」


茜「でもファンは凄く多くいるじゃない?それって凄い事だと思うよ?」


愛華「そうだね!ファンの皆さんは大切だし、私も凄く意欲が沸いて来るからそれに応えて行かないとだね!」




(そう・・・あの人が書いてくれている感想、サイン会の時にも言ってくれた、官能小説だけじゃなくて、恋愛ものや他の分野のストーリーも又書いて行きたいし!!)




次の日の学校・・・




愛華 (昨日はちゃんと確認が取れなかったけど今日は直接聞いてみようかな?)


智也「おい、香波?又お前ボーッとしてんぞ?又徹夜でゲームか?」


愛華「あっ!青葉君?・・・」



(いえ、違います!ゲームなんて私ほとんどした事が無く、昨夜は、あなたが私のファン1号なのかモヤモヤしていて眠れませんでした・・・)



智也「あのさ・・・ちょっと聞きたい事があんだけどさ?屋上来てくれないか?」


愛華「えっ!?・・・べっ、別に良いよ?・・・って言うか私も確認したい事があるの!」




智也「今日はかなりの晴天だよな?」


愛華「うっ、うん、そうだね・・・」


智也「・・・・・・・」


愛華「・・・・・・・」


愛華&智也「あのさ」


智也「わりぃ、先にどうぞ?」


愛華「ううん、青葉君からで良いよ?」


智也「そっ、そうか?・・・じゃっ、じゃあ俺からで・・・あのさ、お前、小説とか読むか?」


愛華「えっ!?私?・・・」


智也「あぁ、俺、好きな小説家がいて・・・」


愛華「そっ!?そうなんだ・・・」


智也「その人がWeb小説に沢山投稿していて、俺も挙げられていた作品をその人が素人だった頃から読んでいて、その人の作品は俺をその作品の世界にドップリと入らせてくれるんだよ!無我夢中で新しい話がアップされたら読んでいたんだ。」


愛華「そうなの!?・・・」


智也「その人がある日を境に作風を一変させて官能小説を書く様になったんだけど・・・」


愛華「へっ・・・そうなの?・・・」


智也「俺は一応その官能小説と言う作品も読んでみたのだが・・・」


愛華「えっ!?・・・そっ・・・そうなの!?・・・」



(どうしよう?・・・もう青葉君が私のファン1号君だってはっきりと確信出来る展開だよ・・・)



智也「これも又凄く斬新で凄くてさ・・・」


愛華「ふっ・・・ふ~ん・・・」


智也「お前は、官能小説とか読んでいる高校生ってどう思う?」


愛華「へっ!?」


智也「高校生の健全な男子生徒が官能小説が好きで読んでいると知ったら許せるか?」


愛華「あれ?・・・それをどうして私に?・・・」


智也「いや、一応全年齢向けにはなっているみたいなんだけどさ、色々と問題もあるだろうし・・・」


愛華「ふふふっ♪」


智也「ん?どうして笑うんだ?」


愛華「自分が好きな事って誰かが四の五の言う事じゃないよね?私だって青葉君が知らない所でもっと凄い事が好きだったりしているかもしれないよ?」


智也「それって・・・どう言う?・・・」


愛華「どうだろうね?」


智也「俺さ・・・その小説家さんがデビューして商業で本を初めて発売された時物凄く嬉しくてさ・・・1作目は恋愛ストーリーだったんだけどさ、俺は男だからあんまりそう言う作品を好むイメージを持たれていないかもしれないから少し敬遠気味だったんだけど、やっぱり自分が好きな作家さんのデビュー作品だから食い入る様に読んでいて、本当に面白い作品だったんだよ!何と言うか我が事の様に喜んで、レビュー書いてさ・・・」


愛華「ふ~ん♪そうか・・・自分が好きになれる事に力を入れたり一緒に喜んだりするのってとても素敵な事だと思うよ?」


智也「分かってくれるか!?それでこの間、初めて・・・初めてその作家さんのサイン会があるって急遽決まったみたいで絶対に行かなければと思って行ったんだよ!」


愛華「うん・・・」


智也「そしたらさ、名前が男っぽい変わったペンネームだったから俺は当初から男だろうって踏んでいたんだ!」


愛華「あぁ・・・やっぱり・・・」


智也「ん?何か言ったか?」


愛華「ううん!何も・・・それで?」


智也「何と、俺たちと同じ高校生でしかも女の子だったんだよ!!凄いだろ!?官能小説家が俺たちと同じ高校生で、しかも・・・凄く、美少女だったんだ・・・」


愛華「そっ!そうだったんだ・・・それは私も今聴いてビックリしたなぁ・・・?」


智也「だろ!?それと、俺が彼女が素人の頃からファンだって知っていてくれて、プレゼント迄くれたんだよ!」


愛華「そうなの!?良かったね?ファンの先生からプレゼントなんてもらえて!」


智也「あぁ!家宝にすると決めたよ!肌身離さず!ずっと身に着けている!」



(そんなに!?そんなに好きなの!?私じゃなくてあの変なペンネームの官能小説かだよ?)



智也「それで何が更に俺を昂ぶらせたかと言うと・・・凄く優しくて、口調も丁寧で、まるで・・・そう・・・まるでお前の様な感じだったんだ・・・」


愛華「へっ!?・・・」


智也「お前、八鬼人空 食多郎先生だろ?」


愛華「えっ!?・・・私が?・・・・・」


智也「そうだ!今は眼鏡を掛けてお下げで如何にも地味子を演じている様だが、本当は凄く綺麗な美少女・・・そう、官能小説家、美少女女子高生、八鬼人空 食多郎!だ!」



(うわぁぁぁぁ・・・・・この凄くしんみり来る展開、鳥肌が立っていたのにその名前のせいで全部台無しだよぅ・・・)



智也「なぁ、どうしてあんなに凄い作品が書けるのにこの才能溢れる生徒を育てようとしている学校でそれを隠してるんだ?」


愛華「あの・・・悪いんだけどね・・・その人私じゃないよ?」


智也「えっ!?だって・・・」


愛華「私、文才無いし、そんな小説サイトも見た事無いし、第一小説なんて読んだ事ほとんど無いから・・・」


智也「・・・・・・・そう・・・・なのか?・・・・」


愛華「うん!ごめんね?折角憧れの小説家さんが身近にいると踏んでいたのに・・・」


智也「いっ、いや・・・俺の方こそ、色々と確信を持てない時点でお前だと決めつけてしまっていたみたいで・・・その・・・何と言うか・・・・ごめん・・・」




夏葉 (ふふふっ!凄い面白い光景を見られたわ♪智也は詰めが甘いわね?あれは間違い無く八鬼人空 食多郎先生よ!そう、私も大ファンだった!!だって智也にも告げずあの日サイン会へ行っていたんですもの!あぁ・・・あの愛華さんが八鬼人空 食多郎先生だったなんて・・・もっと早く知りたかったわ!!)




(あぁ・・・何であそこで私じゃないって言ったんだろう?でも青葉君、完全に私じゃなくてあのヘンテコな名前の作家さんの事が好きだったんだよね?偶然その作家さんと私が同一人物だと思ったから私に話掛けて来た・・・恐らく今迄話掛けて来てくれたのって私があのヘンテコな名前の作家って思っていたからなのかな?既にサイン会よりずっと前から私とあの作家が同一人物だと思っていたのかな?)




智也 (違ったのか・・・絶対に間違い無いと確信していたのに・・・だからああやってあいつに声を掛けて、色々とドギマギさせながら話を進めたのだが・・・)


圭太「おい、智也?大丈夫か?ボーッとしてんな?恋煩いか?」


智也「へっ!?いっ、いや、そう言う訳では無いんだ・・・少し気に掛かる事があって・・・」


圭太「お前って何かと特だよな?そうやってボーッとしてても誰にも怒られ無いし・・・俺なんてボーッとして無くても誰かに頻繁に怒られてっからな!?」


智也「あっ・・・そんな事は・・・」




帰宅後・・・自室にて・・・


愛華「あぁ・・・やっぱり青葉君がファン1号君だったんだ!!何か照れると言うか嬉しいな♪こうやって同じ学校の同じクラスの男の子が私のファンだったって知れて凄く嬉しい♪・・・あっ!もう新作の感想コメントが書かれてある!!チェックしないと!」



「新作読みました。何だかありきたりの内容でつまんなかったです。もっと人が書かない様な内容で書いて欲しかったです。ちょっと売れたからっていい気になっているんじゃないですか?もっとファンを大事にしてあげてよ?」



愛華「あ・・・・あぁ・・・・やっぱり・・・・こう言う感想も来る日があるんだね・・・そうか・・・新作はありきたりだったんだ・・・私って結構あまり人が書いていない様な作品を書きたいって当初から思っていたから出来る限りそう言う風に書いて来たけど・・・この人には伝わらなかったんだね?ごめんなさい・・・うっ・・・えぐっ・・・私・・・私・・・」


「先生へ・・・新作読ませてもらいました。凄く面白かったです!前半は凄くありきたりな内容でどう言う結末になるのか最後迄先生を信じて読ませてもらいましたが、やはり俺が思った通り、読者を上手に裏切る様な最高の展開でした!官能小説は最初読む時抵抗が強かったですが、先生の作品が好きだったから読んでみたいと思って読んでみましたが、とても最初の抵抗が嘘だったかの様に今では先生の作品なら喜んで読ませてもらう様になりました。色々と大変な事もあるかもしれませんが、この間の俺の言葉を忘れずにこの様な作品を書いて下さったのだと信じています。本当にありがとう御座いました。これからも応援していますのでお体に気を付けて頑張って下さい。同じ学生の身!凄く俺の人生の励みにもなっています。PN/TA八鬼人空大ファン」



愛華「あぁ・・・・青葉君だ♪嬉しいよ・・・ありがとう・・・本当に・・・私・・・あなたの為にもっともっと素敵な作品を書きたい・・・」




次の日、学校にて・・・



智也「あのさ、香波?昨日はその・・・悪かったな!それでだ!・・・あんな恥ずかしい話をしたと言う事もあってだな・・・お前って小説とか読んだ事があまり無いって言ってただろ?」


愛華「ううん、気にしないで?私も何か思わせぶりな事していたみたいだし・・・それで、小説がどうしたの?確かに私、活字が苦手だから・・・」


智也「昨日言ってた先生の投稿しているサイトの先生のページを教えるから良かったら読んでみて欲しいんだ!?最近の作品に抵抗があるなら、最初の方に投稿していた、一部書籍化している作品もあるからさ?凄く良いストーリー展開の作品ばかりで女の子が書いているから尚更かもしれないけどさ、お前になら合うと思うんだよ!」


愛華「うん、じゃあ、読んでみるね?ありがとう♪」



(本当に私の作品が好きなんだなぁ・・・実は最初の方に書いていたものって私も結構気に入っていたんだ♪純粋な気持ち、想いを描きたいから文字として無我夢中で書いたのが最初の方に書いた作品。それを今の担当さんの目に止まって私の作品を実体化してくれた♪)




夏葉 (何良い雰囲気出してんのよ?如何にも「私は八鬼人空 食多郎なんかじゃありませ~ん」って表情しちゃって・・・智也は騙せても私は騙せないわよ?絶対にあなたを!そう・・・) 八鬼人空 食多郎先生だって認めさせてみせるんだから!)




圭太「おい、今度は涼原か!?お前たち最近変だぞ?皆、揃いも揃ってボーッとしちゃってさ?一体何が起きてんだよ!?」




こうして、物語は始まったのです!そう・・・これは私が青葉君にいつかきっと・・・私があの、ヘンテコな名前の作家だと告げる日が訪れる事が・・・あるのかな?・・・やっぱりペンネーム変えた方が良いかな?・・・












第一巻 終

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