第404話【破棄の理由】

「人首相も獅子堂一派の仲間だったのでは無いか、 と言う噂もありますが」

「それは無いな、 野党が流したデマと言う説が支配的だ

人首相は独裁的だったが彼が居なければ今日の平和は無かったと言える

今日の基盤を築いた男と言って良いだろう

彼が居なければこの国は未だに怪人の巣窟になっていただろう」

「怪人と言えばC2システムが破棄された理由は何ですか?

C2システムは現在から見ても革新的なシステムだった筈です」


C2システムは終焉の日から暫く経って全て破棄されている。

説は様々であり真実ははっきりしない。


「C2システムには怪人化を促進させる機構が有ったと判明したんだ

DNAを書き換える、 DNA汚染装置と言える物がC2システムには組み込まれていた」

「なんと、 人造怪人と言う事ですか? ノギクボの様な」

「そうだな、 ノギクボの怪人が植物型の怪人だったのに対して

獅子堂一派の怪人が猫科ばかりだったのは獅子堂がライオンの怪人で

獅子堂のDNAを参照したからという説がある」

「なるほど・・・しかしC2システム破棄は聊か早計だったのではないでしょうか?

その機構を取り除けば良かったのでは?」

「C2システムは疑似的な怪人化システムだったんだ

機構の取り外しは不可能だ」

「しかし最近では人間の怪人化は障害の様な物と認知されているではありませんか」


人間の怪人化はどんな世界でも起こり得る者である。

その為、 怪人になった人間は以前は迫害されていたが

現在は怪人になってもセラピーを行い普通の人間の様に暮らせる様になっている。


「最近は怪人になる遺伝子解明による遺伝子治療も研究されている

怪人化は何れ治療できる病の一つになるだろう」

「本当ですか?」

「とは言え実現には2,30年はかかるだろうが」

「あらら・・・ですが何れ治るのならば良いのでは?」

「そうも言えない、 経過観察で怪人は老化が早いと言う調査結果が出ている」

「本当ですか?」

「あぁ、 元クルセイダーズや癒し屋が表舞台から去ったのはその為だ

元クルセイダーズの中では既に老衰した者も居るらしい」

「それは・・・何とも・・・」

「まぁ人間以上に力強いのならばこの程度のリスクは覚悟しなくちゃいけないのかね」


遠い目をして滝は言った。

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