第386話【人間では無い】

銃弾が止んだ。


「ヨシ、 ニゲルネ!!」

「カバーする!!」

「じゃあ俺は」


牛尾が全て言い終える前に何かが投げまれた。


「・・・手榴弾!!」

「なっ!!」


しかも唯の手榴弾では無い、 手榴弾が炸裂すると炎が燃え広がる。


「焼夷手榴弾か!!」

「糞ッ!! 焼き殺す気か!!」

「コウショウノヨチナシッテコトネ」

「ど、 如何します兄貴!!」

「狼狽えるな!! 怪人との戦いでも交渉の余地は無いわ!!」


舎弟を一喝する牛尾。


「敵が怪人か如何か知らんだ・・・牛尾、 とりあえずコレ」


牛尾に拳銃を一丁渡す滝。


「俺は銃撃が下手なんだよ!! だから殴り合いで」

「じゃあ舎弟君、 持ってろ」

「あ、 持ってます」

「舎弟には装備させてるんだな」

「あたぼうよ!!」


そんな事を言っている間にも炎が燃え広がり続ける。


「様子は如何なっている・・・」


舎弟の一人が物影から乗りだそうとする。

慌てて牛尾が頭を下げさせる、 瞬時に銃弾が舎弟の頭の上を通過する。

舎弟はしめやかに失禁。


「汚ぇなぁ」

「す、 すんません・・・」

「RPG!!」


黒子が叫んだ!! そして大爆発が起こった。

倉庫の中が崩れ始めていた。


「無茶苦茶しやがる!!」

「クッ、 コウナッタライチハヤクニゲルネ!!」

「如何やって!?」

「コッチネ!!」


チャンが先導を始める。

それと同時に天井が爆発し始めた。


「迫撃砲!?」

「くっそ、 手加減無しか!!」

「コッチネ!!」


チャンはハッチを開けて地下への道を示した。


「良し!! 行」


舎弟の一人が叫んだが天井の破片で頭を打った。


「お、 おい!! しっかりしろ」

「はぁ・・・はぁ・・・」

「ヤバいな・・・」

「サキニイクネ!!」


チャンが地下への道に先に進んだ。


「・・・・・俺も行くぞ、 牛尾も早くな」


滝もそれに続いた。


「兄貴・・・」


無傷の舎弟が弱弱しく呟く。


「お前は先に行け!! 俺はコイツを連れて行く!!」


そう言って怪我を負った舎弟に肩を貸す牛尾。


「で、 でも兄貴!!」

「あ、 兄貴・・・俺の事は・・・置いてって・・・」

「馬鹿言うんじゃねぇ!! 今度そんな事言って見ろ!! 打ん殴るぞ!!」

「・・・う、 ・・・すみません」


涙を流す舎弟二人。

そこにどごんと迫撃砲、 そして崩れる天井、 そして塞がる地下への道。


「「「あっ」」」

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