第348話【ヘッド、 空を飛ぶ】

星空を見上げるヘッド。


「・・・・・あれ、 何で俺は横になっているんだっけ・・・?」


いや違う、 下も星空だ。


「・・・・・宇宙!?」


混乱するヘッド。

パニックになった頭で自分の身に起こった事を振り返る。

そう確かに癒し屋と共にパトカーとカーチェイスをしていたのだった。

そしてパトカーの一台に乗り上げて・・・


「おいおい、 マジかよ、 幾ら何でも宇宙にまで来れる位スピード有ったか?」


幾ら何でも宇宙にまで行けるスピードでは無かった

第一宇宙速度は時速二万キロを超えている、 バイクでそのスピードを出すのは無理だ。


「マジか・・・宇宙に来たのか・・・」


しかしその事実をヘッドは知らない、 無邪気に宇宙旅行を楽しんでいる。


「・・・でも息が出来るな」


そもそも宇宙空間で生身で居る事自体が可笑しいのだがヘッドはその事を知らない。


「まぁ良いか」


スリルと興奮を第一に考え、 対して勉強をしていない

悪い言い方をしてしまえば馬鹿なヘッドは自身の置かれている状況を分かっていなかった。


「ん?」


ヘッドの視界が急に晴れた、 眩い閃光が奔ったのだった。

そしてヘッドは起き上がった。

若干焦げ臭い。


「う・・・いつつ・・・何が起こったんだ?」

『GIGAGAGAGIGIGI』


横に草の怪人が居た。


「え? 何コレ?」

『GI』


草の怪人は癒し屋になった。


「うぇ? 癒し屋? アンタ今、 草じゃ無かった?」

「こう見えても怪人だからね」

「うっそだろ? おい」

「いや、 マジ、 でも私が怪人で良かったなアンタ」

「何で?」

「私は治癒能力を持った怪人だ、 アンタ事故って死にかけたんだぞ」


そう言って指を指す、 その先には燃え盛るバイクが


「バイクで跳ねて、 凄い勢いで飛んで私が守らなければ即死だったぞ

護っても大怪我で瀕死だったが、 私が治してやった」

「あ、 ありがとう」

「礼を言うのはこっちだ、 ここまでくれば後は走りでも充分」

「畑間に行くのか?」

「あぁ」

「じゃ、 じゃあさ、 携帯番号交換しねぇ?」

「うん?」

「さっきも言ったがアンタに惚れた」

「私が怪人でも?」

「アンタが怪人でも」

「・・・・・」


少し呆れた様に携帯を取り出した。


「じゃあアンタの名前を登録するぞ、 ヘッドで良いか?」

「本名教えるから本名教えて」

「名前なんか無い、 癒し屋が本名だ」

「あ、 そうなんだ・・・」

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