第294話【何故、ここにいる】

南国空港で怪人達が滑走路に集まっていた。


『良し、 状況を確認しよう、 俺達は五人で南国空港を襲撃していた

急な命令で無茶な事だが何とか完遂出来た、 これで暫くは営業出来ない

そして帰ろうと思ったら帰った来たのは三人だけだ』

『・・・空港は重武装だからな』

『いや、 同時多発的に襲ったんだ空港の戦力では太刀打ち出来る筈が無い・・・』

『うーん・・・猫、 如何した?』

『何故、 ここにいる』


猫と呼ばれた怪人の見る方向には昨日自分達が出くわした甲殻を持った怪人が居た。

手には巨大な対怪人用携帯砲を持っていた。

南国空港に備え付けの物だろう。


『何でって怪人が居るから殺しに来ただけだ』

『・・・正義の味方かよ』

『違う、 怪人の天敵だ』

『へぇ、 そりゃどうも・・・』


対怪人用携帯砲を怪人達に構える夢宮。


『避けろ!!』


怪人達が一斉に飛び退く。


『・・・・・』


夢宮は撃たなかった。

そして構えを解いて思い切りぶん投げた。


『なっ!? ガッ!?』


対怪人用携帯砲は怪人に激突し、 大爆発した。


『狙っても当たる気しないからな』

『この野郎!!』

『待て!! 戦うな!! 超人化が使える相手だ!! 勝てる訳が無い!!』

『くっ・・・!!』


怪人二人は逃げた。

すぐさま後を追う夢宮。


『糞ッ!! このままじゃあやって来る軍隊やら警察やらに殺されて共倒れになるぞ!!』

『その心配は無い、 直ぐに終わる』


そう言って巨大な三葉虫の姿になる夢宮。

しかし昨日の激戦の傷は癒えておらず頭頂部に傷が付いていた。


『傷が付いている・・・いけるか!?』

『馬鹿言うな!! 手負いでも化け物は化け物だ!!』

『だが逃げられる相手では・・・無い!!』


振り返る二人の怪人。

そして襲い掛かる、 狙いは傷、 そこを突けば勝てると踏んだ

実際その狙いは正解だろう、 しかし狙っているのが分かっているのならば


『そう来ると思ったよ!!』


尻尾で自身の上体を起こして突撃して来た怪人達を踏み潰す。

昨日とは違い、 今度は踏み潰す事に成功したのだった。

そして大爆発を起こし、 まるで夢宮は紙の様に吹き飛ばされるのだった。


『がはっ・・・くっ・・・早く逃げないと・・・』


燃え盛る煙の中に身を隠しながら

人間の姿に戻り息も絶え絶えにその場を後にした夢宮だった。

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