第199話【鮨の作法】

鮨屋、 究兵衛にやって来たロームとロームのマネージャー、 カーン・ジャスティン。


「今日は御疲れだったな」

「あぁ、 この国のテレビは半日以上やるとか狂気の沙汰だ」

「ははは・・・まぁボスもゆっくり羽休めして来いって言ってたし休暇を楽しもうじゃないか」

「そうだなジャスティン」

「お待たせしました、 ヒラメと、 こちら向こうの御客様から」

「ん?」


板前がヒラメの握りと共に透明な液体が入ったコップを出して来た。


「これは?」

「向こうの御客様からです」


板前が指し示した方には若い女性客二人が居た。

ミーハーの様でキャーキャー言っていた。


「では有難く頂こう・・・」


コップの中を一口飲むと豊潤な香りが広がる。


「素晴らしい酒だな」

「恐縮です、 ささ握りもどうぞ」

「うむ・・・」

「なぁトロとかが旨いって聞いたけどなんでヒラメなんだ?

そんなに好きじゃ無いだろ?」

「トロは二番目だ、 最初に味の濃い物は駄目らしい」

「ふぅん、 鮨にも作法と言う物が有るんだなぁ・・・」

「嬉しいですねぇ、 是非とも堪能して行ってください

あ、 それからあちらの御客様からまた・・・」

「ん?」


またしても酒を進められる。

ロームはそれを飲み干した。


「おー、 さっきの酒とは全然違う!!」

「良いなぁ・・・俺も飲みたいなぁ・・・」

「運転あるから駄目だ」

「ちぇ・・・」

「まぁまぁどんどん飲んで下さい」

「うん」


酒を呑みながらトロ、 鯖、 イカ、 玉子

ほっき貝、 海老、 穴子、 かっぱ巻と全て食べるローム。


「ふぅ・・・お会計お願いしますー」

「もうちょっとたべようぜー」


出来上がるローム。


「これ以上は無理だ・・・」

「ちぇー、 じゃあ良いよ、 俺は先に車行ってるからなー」


ロームがカーンを置いて店の戸に手をかけた。


「・・・らぁ!!」


ロームが店の戸を蹴破った。


「何してんだ!!」

「黙れ!! 警察に連絡!! 急げ!!」

「はぁ? ・・・!!」


カーンは緊急事態を悟りすぐさま警察に連絡する為に携帯電話を取り出した。

ロームは懐の対怪人用の拳銃を取り出して構えた。

戸の外にはネコ科の怪人が居たのだった。


「がっ!?」

「ジャスティン!?」


カーンのくぐもった悲鳴に振り向くとカーンの喉笛に

二人のネコ科怪人が噛み付いていたのだった。

そして

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