第53話【顆粒】

顆粒、本名日野 流。

彼は一流企業の会社員をしている、会社で重役をしている先輩のコネで入社出来た

可もなく不可もなくと言った扱いは平社員である。

彼は大学ではサークル活動を行っていた

当時は女性目当てであまり評判は良くなかった

とは言え容姿が良いのでそれなりに寄って来る女性は多かった。


彼は警察署で文字通り朝から晩まで事情聴取を受けていた。

彼には前科、にはならなかったが黒い過去が有る。

それは女性絡みの問題である、嘗て二股をしていた彼を巡って女性二人が

重傷を負わせ合うと言う事件が有ったのだ、顆粒もその際に取り調べを受けたが

その際の応対が軽薄過ぎて刑事からの受けが悪かった。

今回のファンクラブ襲撃事件の担当がその際の刑事と同じだった為

疑われここまで時間がかかったのだった。

顆粒は日が暮れた街中を帰る事にした。


顆粒がファンクラブに入っているのは禍蜻蛉のファンだからという理由ではない。


日の暮れた街中に経っている人影を見る顆粒。

不審そうに顆粒が見ていると人影が此方に歩いて来る。


「誰だい?」

「見忘れましたか?」


顆粒がファンクラブに入った理由は女性目的ではない。


「・・・ドリーマー君?」

「・・・・・」


顆粒がファンクラブに入った理由は女性を

追いかけ続け無駄になった青春を取り戻す為である。

やたら人当りが良いのは人望を集めたいからである。

打算に近いが頼りになる男である。


「私ですよ、何でドリーマー君と間違えるんですか?」

「・・・あ、誰眼鏡か」

「もう、折角迎えに来たのに・・・男の子と間違えますか普通」

「悪い悪い、それで如何した?何か問題でも?」

「いや警察に事情聴取されたと聞いたので心配になって・・・」

「悪かったな・・・それよりもCOWさんと装荷崎さんが死んだってマジか?」

「えぇ・・・禍蜻蛉先生も倒れて・・・」

「そりゃあ心配だな・・・

兎に角俺達に出来る事は見舞いの準備位しかねぇか・・・」

「今から何か果物買って来ます?」

「夜だけど・・・デパートなら開いているか

果物を買って渡す位の事は出来るかな」

「急げば充分間に合いますよ、行きましょう」

「そうだな」


顆粒と誰眼鏡はデパートに仲良く向かった

その背中は正に青春と言える物だろう。

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