姫君と側仕え
たとえ終わりが聞こえていても
おまえがそれと望むなら
贅を尽くした城の奥
花のような出で立ちで
俗の憂いは知らないで
ただたおやかでありましょう
ときには胡蝶の指先で
興の向くまま
あちらこちらと気まぐれに
振り回してもあげましょう
傲慢無邪気に無垢残虐
恐れを知らぬ気位を
おまえが高貴と
移ろう時は糸車
怨嗟の声など聞こえぬと
香と
錦の
所詮我らも沙羅双樹
やがて落ちゆくものだから
夢の現のこの刹那
道化となりて遊びましょう
かくて虚飾が剥がれ落ち
数多の因果が迫っても
真白き花の
おまえが
黒く崩れる城の奥
爆ぜる炎も剣戟も
微笑んでいてあげましょう
息を切らして駆けつけた
青褪め叫ぶおまえにこの手を
伸ばしてやれはしないから
城は瓦礫と成り果てる
舞い降る煤は墨桜
猛る炎は朱塗り傘
遠い花見の
華の衣を翻し
くるくる舞ってこの世の春を
春であったと謡いましょう
楽しかったと笑いましょう
おまえの瞳に残るのが
おまえの理想であるように
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