第123話訪問者

友だちと遊んだ帰り道にカツアゲに会い、殴られ口の中を少し切っていた、家に帰り口を洗って、凜が居るリビングに足を踏み入れた。

「凜ただいま。」

「お帰りなさい。」


パタパタと小走りで近寄って来ると、抱き締められ背伸びしてキスされたが、いつもと違う唇の感触があったのか、教えられた。

「ねぇ…晴くん少し口が腫れてるよ。」

「こ、転けたんだよ。」

「手のひらは綺麗だね、服も鼻もデコも。」

「電柱にぶつかったんだ。」

「言ってることが違うよ。」


凜は目を細目てジーっと見つめ、晴斗は目が合うと逸らそうとしたが、逸らすと負けと思い逸らさなかった。

「…細目でも可愛いよ、カレー食べよ。」

「話終わってないよ、喧嘩したの。」

「してない、急に殴られたんだ…殴り返したけど。」


晴斗はそっぽを向いて教えていた。

「こっち見て…殴り返したら、喧嘩だよ。」

「…カツアゲに会ったんだ、新しく出来た友達助けただけ。」


友達も殴られたか聞かれ、自分だけだと教えると、凜はギュッと抱き締めてくると「心配させないで」と言ってきた。

「怒らないんだな。」

「友達助けたんだよね、私は怒らないよ、無理しないでね。」


晴斗は抱き締めて「ありがとう」と伝え、キスして晩御飯のカレーを二人は食べた。


数時間後…凜がお風呂に入ると、ペンギンのぬいぐるみをベッドに置いていた、寝室にパジャマ姿で入って来ると、手渡していた。

「可愛い凜にプレゼント。」

「…可愛い‥ありがとう。」

「ぬいぐるみ抱き締める姿も可愛いよ。」


凜はぬいぐるみを抱き締め、晴斗は凜の笑顔を見ながら抱き締めていた。



……………………………………………………



翌日……昼御飯を食べ終わると、二人でリビングに居た、インターホンが鳴り受話器を耳に当て「はい」と返事をしたが、返事が返ってくることはなかった、直ぐにピンポーンと鳴ると、晴斗は玄関の覗き穴から覗いていた。

…誰も居ないんだよなぁ。


また鳴ると、晴斗は走ってドアを開けて見ると、見慣れた麻莉菜が立っていたが直ぐにドアを閉めた、ドアを叩かれるが「疲れてんだな」と小言を言って、リビングに向かい、ソファーに座ると凜を膝に座らせ抱き締めていた。

「晴くん誰だったの。」

「あぁ……俺疲れてるんだ‥麻莉菜が見えたんだよ。」


晴斗は笑いながら言うと、凜も笑っていた。

「晴くん疲れてるんだね。」


またインターホンが鳴り、凜が出ると「返事がないよ」と言われた。

「イタズラだろ、来て。」


凜はパタパタと小走りで来ると、正面から抱き締めてきた、晴斗は目を閉じて考え事をしてるとキスされていた。

「…晴くんからもして。」


恥ずかしそうに言われ、晴斗もキスすると、ソファーの上でイチャついていた。

「もうインターホン押されないな。」

「やっぱり誰かのイタズラだよ、まだ足も痛いから、ゆっくり家で休も。」

「邪魔されないし良いよ。」


またインターホンが鳴ると、イラっとして走って玄関の扉を開けると、優樹姉が立っていた、優樹姉の表情は鬼のように怖さが感じ取れ、直ぐにドアを閉めて安心していた。


優樹姉は、合鍵でドアを開けてリビングに入って来ると言われた。

「チェーンも掛けて、麻莉菜ちゃん入れずに二人で何してたの。」

「…テ、テレビ見てました。」


晴斗は凜の後ろに隠れていたが、怒られると、楽しそうに麻莉菜は笑っていた。

「晴、言うことあるよね。」


優樹姉が怒ると晴斗は「なんのこと」と言いながら、困った顔を向けていた。

「凜ちゃんのこと…まだ分からないの。」

「子供はまだですけど。」

「当たり前でしょ…バイクに乗ってるよね。」

「…さぁ、乗ってたかな。」


睨まれると、晴斗はコクコク頷き、凜をギュッと抱き締めながら「一緒に怒られよ」と震えながら頼んでいた。

「凜ちゃんも何で言わなかったの。」

「…晴くんが勝手に…言わなかった‥私も悪いんです。」


晴斗は震えて分からなかったが、凜も震えていた。

「晴が勝手に取らせたんでしょ…バイクも見たよ。」

「…後ろも横も危険がないか見てる、凜のペースで走ってる…そんなに怒るなら、俺に任せるな、凜のわがままを聞くな。」


急に両親に睨まれると晴斗と凜は正座をして、一時間程怒られていた、怒られ終わると、麻莉菜の他に美香さんと悟さんもいて、祐希の姿はなかった。

「事故しないように、晴が居るときに乗ること。」

「…はい。」


麻莉菜は怒られる姿が面白いのか、笑っていた。

「晴兄がドア閉めて入れてくれなかったの、入れないから怒られるんだよ。」

「麻莉菜が何回もインターホン押してたのか、返事しろよ。」

「ビックリさせようとしたんだよ、二人暮らしって聞いてないよ。」

「遊園地で教えたよね、信じなかったのは誰かな。」

「冗談かと思ってた。」


晴斗は立ち上がると寝室に消えていった。

…写真も隠さないとな。

麻莉菜は部屋を見たいのか、ドアを開けようとするが、晴斗がドアの前に座りテレビを見ていた。


皆は勝手に部屋を見てるのか、凜に開けてと言われ、ドアから退くと皆で入ってきていた。

「晴兄は何処で寝てるの。」

「凜の部屋だよ、テレビがあるからね、空き部屋に布団置いていたよね、毎晩持ってくるんだよ、凜のベッドは大きいのに、たまにしか一緒に寝てくれないんだ。」

「晴兄が変態だからだよ。」

「そうか、部屋から出て。」


晴斗は皆を押して部屋から追い出すと、一緒にリビングにいた。


麻莉菜に服も凜の部屋に置いてることを聞かれ「部屋が広いからだよ」と適当に答えると「私も住めるかも」と麻莉菜は小声で言うのが聞こえていた。

「言っとくけど、麻莉菜の部屋は無いからね。」

「荷物も無かったよ、一部屋空いてた。」

「空き部屋に見えて俺の部屋、住むなら家賃払ってね。」

「ケチ、晴兄はドケチ。」

「学校始まったら遊びに来たらいい。」


二人で話してると皆は笑ってたが、麻莉菜は凜に話しかけていた。

「凜姉ちゃん、私も住んでいい。」

「ダメだよ。」

「何でダメなの。」

…麻莉菜はわがままだな、凜も即答だな。


麻莉菜は親にまた「わがまま言うな、家から通いなさい」と怒られ、拗ねた姿を見て、晴斗は笑っていた。

「残念だね。」

「うるさい、話し掛けないで。」

「一緒に住んで良かったけど、親が駄目って言ったね、凜も親が断るから駄目って言ったんだよな。」


凜も頷くと、麻莉菜は両親に「二人が一緒に住んで良いって」と言いに行くが「ダメだ」と怒られていた。


晴斗は凜の隣に座り小声で話していた。

「二人で暮らせるな。」

「うん。」


晩御飯は皆で外食に行くことになった。

「外で食べるなら、近いモールで焼き肉食べ放題行こ、ビールと合うと思う。」


大人もビール飲みながら肉を食べようと言うと、麻莉菜は「焼き肉だぁ」と子供のように喜んでいた。

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