第17話

すごい偶然と再会で、頭の中が混乱してる。


 いきなりこんな出会い方……意地悪だよ。

 せっかく再会できたのに……どうして。

 もう少し、違う形で再会していれば、笑顔で嘘なんかもつかずにいられたのに。


 そうだった。リエに返事書いてなかった。

 私はふてくされながら、ペンと便箋を机の上に出した。


 ーーリエーー


 元気?

 彼氏とはうまくいってるね!

 リエののろけ話、私も嬉しいよ!


 私は……


 だめだ。書けないよ。


 手紙。私は……のところで止まってしまう。


 あれ。


 どうして。


 涙が急に溢れ出してきてしまう。


 私どうしちゃったんだろう。胸が苦しかった。

 嘘をついてしまった罪悪感なのか。

 それとも……。


 どうしてこんな気持ちになるの。


 不思議な不思議な感情そのものであった。



 ……寂しくてたまらなくなった。



 携帯を取り出し、電話をかけた。



 電話の相手はよっちゃんだった。


「 もしもし、今夜会える?」


 約束を取り付けた。


 よっちゃんは、優しいから何かあったとすぐセンサーを働かせてくれる。


 私って。ひどい女なのかもしれない。


 最低なのかもしれない。


 寂しさから逃げるために、自分のことを好きと言ってくれた、優しいよっちゃんに連絡するなんて……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る