第113話 いや勘弁

 バイト中、どうも調子が悪い。

 すぐにバテる。

 呼吸が乱れる。

 確かに忙しい…だが、それほど動いてはいないはずだ。


 なにかおかしい…

 人の話が耳に入ってこない。

「ねぇ桜雪さんも知ってるでしょ?」

「……えっ?なにを?」


 とりあえずバイトを終え、帰宅…いつもならコンビニでスィーツでも買って帰るのだが、どうもそんな気にならない。

 異常にのどが渇く…そして寒い…


 大体解った…風邪気味なのだ。


 薬を飲んで横になる。

 ウトウト…ウトウト…

 トスンッ…

「ん?」

『桜雪、寝るの?』

 チョビさんだ。

 クロさんは賢い、僕が具合が悪い時には近寄らない。

 動物の本能だろう…感染を知っているようだ。

 チョビさんはお構いない。

『もう寝る? 僕も寝ようか?』

「チョビさん具合がね…悪いんですよ…」

 眩暈と吐き気…そういえば1週間前から下痢だった。

『桜雪、桜雪、聞いて…起きて』


 なにやら鳴きやまないチョビさん…

 こんな時に限って、よく喋るのだ。

 寝ると起こすし…なんだろうな~。

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