第42話 これはクロさん

 お盆である。

 別にだからということもないのだが、ソファの下を掃除しようと思った。

 どうせ毛だらけ、ホコリだらけである。

 退かそうと思い引っ張ると動かない。

(おや…)


 少し強めに引くと動くが、なんかベタッとしている。

(クロさんか…)


 大体解る。

 クロさんのマーキングである。


 ここで、おしっこしたのだ。

 基本、チョビさんは、そこらを引っ掻くがマーキングはしない。

 クロさんは引っ掻きはしないが、マーキングをする。


 一時期、どこからか臭っていたのだ。

 特定できなかったが…


「クロさん…」

『呼んだか? 桜雪』

「クロさん…ココでしましたか?」

『桜雪…覚えがないのだが?』


 僕に顔を押さえ付けられながらジーッと僕を見ている。

「クロさん」

『桜雪、チュール食べたい』

 僕の指をペロッと舐める。

 猫に何を聞いても無駄なのだ。


『桜雪、夏でもコレだけは食べれる』


 満足そうであった。

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