第2話 家族と友達
「ただいま。」
アップルは自宅に着いた。王族の彼女の家は、大きな城だった。
「アップル! こっちへ来なさい!」
「はい。」
ガクっと項垂れるアップルは、家族の待つリビングに行く。
「アップル、また学校で何かをやらかしたそうだな。」
「はい。お父様。申し訳ありません。」
「我がフルーツ家は王室だぞ! 学校で騒ぎなど起こすな! この面汚しが! 問題ばかり起こしよって!」
アップルの父、スイカ国王。アップルは、フルーツ家の娘である。
「本当にアップルはダメな子ね。ストロベリーさんとメロンを見習ってほしいものだわ。どこでどう育て間違えたのやら。」
「はい。すいません。お母様。」
母、ブルーベリー王妃。
「仕方ないですわ。お母様。だってアップルはドジっ子ですもの。私を引き立たせるためだけの存在ですわ。」
姉、ストロベリー王女。
「そうだよ。アップル姉さんは使えない子なんだから、期待するだけ無駄だよ。どこかの王族に売り飛ばそうよ。」
弟のメロン王子。
「ご迷惑をかけて申し訳ありません。」
これがアップルの家族でした。立派な大きな城の中に、アップルの居場所はありませんでした。
「事件です! 大事件です! 人が消えました!」
その時、執事の男が慌てふためいて、今にやって来る。
「どうした? 何事だ? 人が消えただと?」
「はい! バチの遊園地で人々が消えたんです!? それも遊園地には血や肉片が飛び散っているんですが、死体は無いんです!? まるで何者かに食べられたみたいに!?」
「食べられただと!? バカなことを言うな!? 全く意味が分からん!?」
執事の言うことに困惑するスイカ国王。
「王妃、私は兵を率いてバチを見てくる。城のことは頼んだぞ。」
「はい。あなた。気をつけて下さいね。」
スイカ国王は、人が消えた地域に遠征することになった。
「ああ~面白くないな。」
その夜、アップルは窓から夜空のお星さまを見つめていた。
「私は、ただ歌を歌っただけ。私は悪くない。どうせ私は音痴ですよーだ!」
学校での出来事を思い出しては心を痛めていた。
「いらない子、ドジっ子、ダメっ子、使えない子。それなら私なんか産まなければいいのに! 何が対面だ! 私だって好きで王族に生まれた訳じゃないぞ!」
アップルは、一日の出来事を夜空に愚痴って、ストレスを発散させ、スッキリとベットに眠りにつくのが日課である。
「私の人生はつまんねえな~。いつになったら自分の好きな様に歌が歌えるんだ。フニャフニャ。」
これは自分の歌声にコンプレックスを抱いている彼女の寝言である。こうして愚痴って入りるだけなので、成長しないアップルであった。
「おはよう。みんな。」
「おはよう。アップル。」
翌日、アップルは学校に登校した。
「みんな、昨日はごめんね。」
「いいのよ。大丈夫よ。」
「そうそう、耳栓をしなかった私たちの方が悪いんだから。」
「まさに音痴最強伝説だな。ハッハハハ。」
「誰が音痴だ!?」
クラスメイトのオレンジ、マスカット、モモと仲良く冗談を言いながら談笑するアップル。
「騒がしいですね。みなさん、席に着いてください。」
「ヤバイ!? 先生だ!?」
教師のパイナップルが現れて、生徒たちは自分の席に座る。
「ゴホン、いいですか? 最近は、突然、人々が消えるというバカバカしい事件が起こっていますが、くれぐれも生徒の皆さんは、いなくならないで下さいよ。クラスから不登校の生徒がでたら、担任である私の人事考課が減点されますからね。」
アップルは、先生の言葉を聞きながら思いました。
「どいつもこいつも自分のことばかりだ。あんたの賃金が減ろうが知ったことじゃない。ああ~面白くないな。こんな奴、死んじゃえばいいのに。」
グワーアッ。パイナップル先生の後ろに大きな口が開きました。
「な、何!?」
パク。次の瞬間、大きな口はパイナップル先生を一口で丸飲みしました。
「キャアアアアアー!?」
教師が食べられた光景を目の辺りにした生徒たちはパニックになり、四方八方に逃げ回ります。
「私の願いを叶えてくれた、あなたは誰?」
そして、天然なのか人が食べられても平然としているアップルの目の前に、フルヘイスの兜、背中に羽を生やした鎧騎士、神の使徒が現れました。フルヘイスのマスクの中の顔は真っ黒でした。
つづく。
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