第7話 雨の中、影。
空の向こうへ憎悪を吐き出すと、雨が降った。
それも、豪雨だ。
傘を持っていない僕は、ずぶ濡れになる他なかった。
傘を差し出してくれた人がいた。
見たことのある、けど知らないその人は、何も言わず、僕にその傘を差し出すと、すぐに何処かへ消えた。
その優しさに、僕は体が震え、涙が出そうになった。
僕は愛情というものを知った。
その傘は、僕が昔持っていた傘とよく似ていた。
気づいたら、雨は止み、空には綺麗な虹が架かっていた。
水溜まりには、微笑んだ顔の僕が映る。
あの人は誰だったのだろう。
僕は気づいていないかもしれないが、
僕はその人を知っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます