運命の赤い電車?

俺と明美は駅へと急ぐ。

その駅は、見た目プレハブかな?て思わせるような、こじんまりとした駅舎。

朝から夕方は駅員が居るが、夜には無人駅とかす。

それに、駅の前には食べ物屋はあまり無い。

少し行くとスーパーがあるくらいか。

後は民家があるくらい。

おまけにここは単線だ。

朝夕は本数はあるが、昼間や夜は本数は少ない。

まあ、ここの市はあの有名な自動車会社があるから、車が中心で動いているのでしかたないが、俺たち学生には不便だ。

で、ここの電車の色が赤色なんだが、俺は勝手にこの電車を、運命の赤い糸ならぬ、『運命の赤い電車』て、呼んでる。

やはり、彼女、朝日 ヒロミ(女)と登下校するのだから。

なんて独り言を言っていたら、明美が



「何が、『運命の赤い電車』よ!お兄ちゃん今、勝手につけたでしょう?」


「うっ!ばれたか」


「運命の赤い糸の人なら、私がいるじゃないの。お兄ちゃん♡」


「へえ?明美おまえが?」


「そう♡」


「いや!遠慮しときます」


「え〜っ!私、お兄ちゃんの事、大、大、大好きなのにぃ〜」


「俺も、好きだよ」


「えっ///」


「妹としてね」



明美は無言で俺の背中をポカポカと叩く。

俺は明美のこの攻撃を避けるように、明美の歩調に合わせながら逃げる。

けどですね、知らない人が見たら、何処かの高校生のバカップルて見られてもおかしくない。

一応言っておきますが、俺らは兄妹なんですからね。


そんな事をしていたら、駅が見えた。

駅舎の改札口に目をやると、



「やっぱり居た!彼女だ!」





◇◇◇





ここの駅舎は私は好き。

こじんまりして、何だか時がゆっくりと流れていく感じがするから。

それにここの電車、赤い電車。



「運命の赤い糸‥‥‥ううん、運命の赤い電車」


「何が運命の赤い電車?」


「えっ?///私、また声に出してた?///」


「周りには聞こえないけど、私にはね」


「ううう///は、恥ずかしい///」



私の独り言が妹にまた聞かれ、私は赤面して下を向いた。

妹は私の顔を見ながら、ニタニタした顔をしている。

そんな私と日和ひよりは、駅舎の改札口の近くに立っている。

無論、彼、朝日 ヒロミ(男)を待っているから。

さっきの私の勘違いをあの人に謝りたいから。


「ねえ、お姉ちゃん」


「な、なに?」


「さっきの彼、お姉ちゃん、一目惚れて私とっさに言ったけど、お姉ちゃんて、そんな性格だったけ?」


「えっ!」




いきなり日和が鋭い事を言ってきたので、私は



「ひ、一目惚れて誰にもあるじゃない」


「うん‥‥‥けど、お姉ちゃんてさ、どっちかと言うと、慎重派のタイプなんだよね。何か決める時も、かなり悩んで決めているから」



「えっ?、そ、そうかな?」


「うん‥‥‥」



日和は昔から、人間観察力は結構鋭く、その人の性格を当てたりする。

私の顔をジーと見つめる日和に、私は少したじろいぐが、日和は私を見てまた、ニタリと笑みを浮かべると


「まあ、お姉ちゃんの事だから、どこかで会ったのを忘れて、今回また会って『これは運命?』てな感じで、一目惚れしたんじゃないの?」


「日和!それでは私がまるでバカの様に聞こえるんですけど」


「えっ?違った?」


「もお〜!日和!」



日和はまた私をからかいながら、ケラケラと笑っている。

そんな話などを日和としていると、



「‥‥‥来た!彼が!」



私の真正面の視界に彼が写った。


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