第44話 アイシー・ケープにて


なにが起こったのか 

時間よ、神話の時代まで戻れ


ハワイ諸島に最初に移住した人々はポリネシア人であるが、彼らは文字をもたなかったので、大航海時代になって西欧人と接触するまでの正確な歴史はわかっていない。考古学や口頭伝承の研究によれば、彼らは紀元500~600年ごろにマルケサス諸島より移住したと考えられる。さらに1000年ごろにタヒチ島などを含むソシエテ諸島よりなんらかの影響があった模様である。


クック達はウラナスカを発って、再び北極海に航路を求める探検をするため、冬の間は休養し、補給するために気候のよい南の島で過ごそうと決めた。


季節はもはや過ぎ去ろうとし、寒気は間近に迫っている。与えられた使命を全うしなければ。


今回の航海で最も北に達したのは、八月十八日。北緯七〇度四四分。氷は折り重なり、氷の壁に船は、ボートでも入っていけなかった。


あれはエナだ。エナ島と名付けよう。ウルはクックがアイシー・ケープと名付けた所に、妹の名を飾った。


ウルは氷の地面に降り立ち、死んだ娘が氷漬けになっているのを見た。待っていたんだ。

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