遠い昔にもらった

月峯ネネ

遠い昔にもらった

四百字詰めの原稿用紙2枚をなんでもないふうを装って渡した。本当に短い小説だった。掌編と呼ぶのがふさわしいそれにすこしの間、あなたは目を落として感想を口にした。

あなたの考えをたくさん話してくれたけど、わたしはもうそのほとんどを覚えていない。ただひとつ、覚えているのは、わたしの作品の特徴だとあなたがいってくれた言葉。


「きみの作品は……」


その言葉は恒星のように自ら瞬き、熱をもってわたしの胸の中でいまだ息づいている。

その光でたどり着いたこの場所でわたしはこれからなにを産み出せるだろうか。

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