Mom

昨晩事件が起きた


犯人は その場の家族三人を

殴って斬りつけ焼いた後

部屋のドアノブ固定して

延長コードを括り付け

ドアの上から反対側へ

コードを通して首を吊った


近くには その時使った丸椅子が

もの言いたげに倒れてる

ドアの前でゆらゆらと

空を漂う男には

実はいまだに意識があって

自分の死体を客観的に

冷静沈着分析してた


俺はもう死んだのか?

苦しくないが視界は真っ暗

俺はもう死んだのか?

尿漏れ悪臭 便も垂れたか


俺はもう死んだのか。

ふと思い出す母の顔

働く背中に優しさと

愛しさ感じた幼少期

蓋を開けるとおかずは少なく

それでも毎日こさえてくれた

感謝の気持ちは完食で

伝えられてた青年期

俺の頭がおかしくなって

それでも愛してくれていた

そんな母を殺してみたが

きっとあの世で楽をして

幸せに暮らしてるだろう

そう願ってはいるものの

も一度声を聞きたくなった

俺が死んだら会えるだろうか

俺が死んだら会えるだろうか

答えを知るその前に

サイレンピーポー聞こえてる

死ぬ直前に発見されて

男は一命とりとめた

ふたたび母に会える日は

いつになったらくるのだろう

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