第32話 これ、楽器?

 はい、パーカッションの続きです。パーカッションには変わった楽器がたくさんあります。いくつか紹介しますね。


 まずはウィップ。読んで字の如く『鞭』です。あーいや、蝋燭と荒縄とセットにしないでください、そっちじゃないです。

 ラヴェルのピアノ協奏曲の冒頭で一発『ピシッ』と入る、あれです。


 テンプルブロックというのもあります。『木魚』です。

 アンダーソンの『シンコペーテッド・クロック』が一番有名かな? 時計の針が時を刻む音に使われてますね。

 他にもグローフェの組曲『グランドキャニオン』第三曲「山道を行く」に4つ使われてます。譜面にはココナッツシェルって書いてあります。これはウッドブロックで代用することもあるか。


 サンダーマシン(サンダーシート)というのもあります。

 これもグローフェの組曲『グランドキャニオン』第五曲「豪雨」に出てきます。ここにはウィンドマシンも使われてます。もうメチャクチャです。聴けばわかるけど……風が吹き荒れて、雨が狂ったように叩きつけて、雷がガンガン落ちるんですよ。聴いた事ない方、ぜひどうぞ。


 大砲。これを楽器として使ったとんでもない作曲家が、あのチャイコフスキーですね。序曲『1812年』で思いっきり使ってます。

 確か「のだめカンタービレ」で本物の大砲を使うシーンがあったような。まあ、普通の演奏会でそれやったら、消防と警察と自衛隊が来て大騒ぎになっちゃうんで、バスドラムでやります。

 いつもはヘッドのセンターを少し外して共鳴させるんですが、これは大砲なんで、わざとヘッドの音をさせるためにセンターをドゴッと行きます!


 金床。カナトコと読みます。鍛冶屋さんが金属加工をする時に使うやつです。これが楽器になります。

 シュトラウスの『鍛冶屋のポルカ』めっちゃ有名です。

 マレットは金づちを使います。もうフツーに鍛冶屋さんです。


 ま、今日のところはこれくらいで勘弁してやるか。いやもうホント勘弁して。金床なんか演奏会で使うと、それだけで荷物重くなるし、運ぶときに足の上なんか落としたら絶対骨折するし。嫌なのよ、こういうの。


 だけどね、世の中には『インスタントコンサート』なんていう悪魔みたいな曲があってね。28曲を次々につなげたという実に恐ろしい曲でね、マニアックなのを放り込んでくるのよ。『アンヴィル・コーラス』が入ってんの、金床だよ。『シェリト・リンド』もあるの。ボンゴだよ。楽器メチャメチャ増えるの。

 文字通り、パーカッション汗だくで走り回る。超体育会系。

 でもいいの!



 だってクラシックファンなんだもん!

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