第19話 一部有名

 突然ですが『○○○』より「××」ってのありますよね。バレエ組曲『くるみ割り人形』より「花のワルツ」とか、組曲『展覧会の絵』より「キエフの大門」とか。


 あれって、たくさんの曲からなる一つの大きな組曲なんかになるわけですが、同じ組曲でも全部が有名というものもあれば、一部だけ有名ってのもありますね。


 例えば、以前も出ました『動物の謝肉祭』(サン=サーンス)。

 「白鳥」はみんな知ってます。みーーーーんな知ってます。

 「水族館」もみんな知ってます。が、曲は知ってるけどタイトルを知らないって人多いですね。

 じゃあ、「ライオンの行進」は? 聴けばなんとなく聞いた事があるという人がいる程度。

 「化石」は? いや知らねーよって人がほとんどになっちゃう。


 では『展覧会の絵』(ムソルグスキー)はどうでしょう?

 「プロムナード」は日本人で知らん人はいないってくらいの知名度を誇ります。

 じゃあ「サミュエルゴールデンベルグとシュミュイレ」は? 白子のりのCM見たことある人なら知ってるけど、そうでもない限りフツーに生きてたら知らんよね。

 「卵の殻を付けた雛の踊り」辺りになって来ると、「それ『動物の謝肉祭』だよね?」とか「『ピーターと狼』だよね」なんて言い出す人が出てくる始末。違うから。『展覧会の絵』だから。ムソルグスキーだから。

 「リモージュの市場」なんかほとんど誰も知らんし。


 知名度に随分と偏りがありますね。


 一方、客層に偏りが発生する曲もあります。


 組曲『惑星』(ホルスト)なんかいい例です。

 「木星」は万人受けするのでどこででも使われてます。その為知名度も最強です。

 「火星」これが面白い。アニメやゲーム辺りで使われるので、ちょいオタの絶大な支持を得ています。

 それ以外……あんまり一般的に知られてない。

 如月は天王星がメチャクチャ好きなんですが、鼻歌(エンドレス)を歌っていても誰にもわかって貰えない。そのまま海王星まで歌っても全然気づいて貰えない。悲しすぎます。

 それなのに「火星」だとわかってくれる。いや、火星から始めたら海王星までフルコーラスやん! やめてよ、そういうの。

 え? フルコーラスしなきゃいいじゃんって? それは無理!


 だってクラシックファンなんだもん!

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