第40話球技だけは音痴
ブッ〜ブッ〜
バッティング場を離れて次に向かおうしたときCOMINEに江菜さんから一件メッセージが来ました。
何だろう、次負けませんとか?いやでもさっきのに勝ち負けあったかな?と思いながらとにかく、見て見ないとわからないのでCOMINEを開きました。――――
《江菜》体調が優れないので帰りますね。
驚きのメッセージでした。さっきまで何度もホームランを出していたのに、体調が優れなくなるなんて、一体どうしたんだろう。
行った方が良いかも。でも、鈴達を置いていけない。
とるべき行動はこのままいることだと思う。でなければわざわざメッセージなんて送らない。
うだうだ考えていると新しいメッセージが来ました。
《江菜》蓮地様、蒿田です。お嬢様の変わりに打っております。
《蓮地》江菜さん大丈夫ですか?
《江菜》(蒿田)はい、体調を崩しただけだと思われます。蓮地様、お嬢様はそのまま皆様と遊んでくださいと。
《蓮地》はい
《江菜》(蒿田)私からも一つ。
どうぞ楽しんでください。でないと蓮地様がお嬢様に叱られてしまいますよ。
《蓮地》分かりました。
《江菜》(蒿田)では。―――――
「蓮兄早くー」
「うん」
気にするのは皆と別れてからにしよう。
◇◇◇
次に向かったのはパターゴルフ。
そこはミニチュアみたいなゴルフ場がいくつかありました。
しかも、パターのサイズが子どもが出来る用に作られていたので、本当は小さな子どもがやるのなんだと思います。
問題発生。
僕は悠さんに訊ねた。
「悠さんどうする?」
「………断念します」
「悠ちゃんやりたいの他にある?」
肩を落とす悠さんに美雨さんが話し掛ける。悠さんは眉を潜めて小さくうーんと唸る。
「バスケかな」
「ねぇ、それじゃあ丁度6人だし3対3で軽く試合やらない?」
比奈さんが提案します。
どうしよう、ドリブルとパスは何とか出来るけど、シュートがどうにも。
それに、ディフェスも怪しいし。
「でも、私達素人ですし、ディフェスもよく分からないし」
美雨さんから助け舟が来ました。
利用することになってごめんなさい。
「それならフリースローにする?」
「私は蓮兄に賛成。木更さんはどうする?」
「私もOK」
「でも、それだけだとつまらないですよね」
美雨さんの言うとおりだ。
「それなら、フリースローで10本勝負はどう?」
「悠ちゃんそこに罰ゲームは?」
比奈さんは目を輝かせて訊ねる。
もしかして、比奈さんってちょっとSなのかも。
「あるに決まってるでしょ」
◇◇◇
女の子、もしくは彼女に良いところを見せたい。そう思った人は一人は必ずいますよね。
僕は、はっきり言いたいです。
見せなくて結構です、と。
ただ、誤解はしないでください。別に喧嘩は売ってません。
見せても良いですよ。意外な一面が見れたら、印象変わりますから。
良い意味でも悪い意味でも。
だからやってもらって構いません。
ただ、良いところを見せようとしてやらないで欲しいです。
何故か。
アピール見え見えで逆に引きます。
女の子なら、あえてあざと可愛くしても良いでしょう。
男子ってそういうの求めてなくとも知らず知らず求めてる所あるので。
ただ、相手は選んでください。そういうではなくてあなたの本質、それに近いあなたをみたい人もいるので。
なので、良いところを見せようとしないでください。
相手を選んであざとくしてください。
ボロがでない程度で。
その結果、やりたいアピールが自然に出来ます。
「勝者、七海美雨」
でも、なるべく
「最下位」
出来る事でアピールしてください。
「お兄さん」
というコールが弓月ちゃんから淡々と告げられました。
呆れられてますね。あはは…
「ごめんなさいお姉様。一位になってしまって」
「蓮兄が下手なだけだから気にしないで」
今それ、凄いグサッとくるよ。
でも、確かにゴールポストには当たるのに全部弾くなんて。
七海さんは体育の授業でバスケがあるとシュート練習ばかりやっていたそうです。運動はあまり得意ではないと。
それでやっていたらうまくなっていたわけです。
因みに順位は
1位七海 美雨 10本中10本
2位木更 弓月 10本中8本
2位春咲 鈴奈 10本中8本
4位朝空 比奈 10本中7本
5位森川 悠 10本中3本
最下位春咲 蓮地 10本中0本
普通一回くらい入るよね。
絶望的だよ。
「お兄さん弱いです」
「蓮地先輩って運動音痴ですか?」
「そういえばさっき、バッティングしませんでしたねー」
「うん、球技系だけ、球技系だけだから」
グサグサと突き刺され、それは地味に大きいダメージで、僕のライフはオーバーキル寸前です。
「まあ、蓮兄だから仕方ないよね」
「は、はは」
やっぱり球技は苦手です。
………江菜さん本当に大丈夫なのかな。
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