第27話 拓海君にお見舞いに来た人物は誰?
「ふぁ……眠い」
昨日、夜遅くにソラから電話があり、少し話をした。病院の消灯時間も過ぎていた為、電話を切ってテキストチャットにした。
ソラにはもう大丈夫だと伝え、すぐ退院になるだろうから、学校で会おうとソラと約束をした。
スマホの時刻を見ると朝の六時五十二分。部屋の蛍光灯をつけ、そして病室のカーテンを開けたら外は雨が降っていた。
その日の午前中は体の検査で終わった。やはり肘の擦り傷以外は異常がなった。
ルナが完全修復をしていたので、異常が無いのは検査前から分かっていた。
午前中、検査が終わって先生と話をした。それから病室に戻りお昼ご飯を食べた。
お昼ご飯を食べ終わり、俺は病室で
スマホで時刻を見たら午後一時三十分だった。
「拓海。明後日退院だな。お前に怪我が無かったのは本当に奇跡だったな」
「本当に良かったわ。たっくんが無事で」
父さんに続いて母さんも俺に言葉をかけてきた。今日は二人とも検査の付き添いで、午前中から病院にいる。
二人とも一人用のパイプ椅子に座っている。俺はベッドの上であぐら座りをしている。
ちなみに両親二人とも自営業や会社などでは働いてはいない。二人で農業を趣味でやっているくらいだ。
二人が働いていないのは、働く必要がないから。何故なら、俺が生まれる前に死んだじいちゃんが、凄いやり手だったからだ。
父さんから聞いた話だと、日本にはバブル景気というものがあったらしい。
とにかく景気が良くお金回りも良くて、その時に死んだじいちゃんがアパートなどの不動産経営や株などをしてかなり儲けていたみたいだ。
だだ、死んだじいちゃんは、このまま好景気が続く訳がないと言って、所有しているアパートや株を全て売却し現金化したらしい。
そのあと暫くしてバブル景気は崩壊。日本は不景気になったとか。じいちゃんの機転で獅子王家はバブル崩壊の影響を受けなかった。
じいちゃんのおかげで、両親は働く必要がないのだ。
さらにじいちゃんは、現金化した一部で
そして最近、
じいちゃんは天才だった。
「そういえば拓海、ウチの隣の鈴木さんと斎藤さん、東京に引っ越すぞ」
「えっ? マジ。どうして?」
鈴木さんと斎藤さんは俺の家を挟んで両隣の人達だ。
「二人は銀行員、ってのは拓海も知っていると思うが、辞令で支店長として、東京に行くと言っていたな。本人達もかなり喜んでいたよ」
「家族は?」
「鈴木さんの家族も、斎藤さんの家族も、東京に住めるって大喜びしていたよ」
「へぇ」
……鈴木さんと斎藤さんが辞令で東京へ引っ越す……まさかな……生き返ってから一日もたっていないから、ルナは関係ないよな?
その後、両親と少し話をしていたら、病院の扉からノックする音が聞こえた。
「誰かな? お見舞いかな? 私が出るわね」
そう言って、母さんは立ち上がって自分の後ろの扉の方へ振り向き歩いて行った。
「ソラ君か?」
「いや……ソラには今日は検査で会えないから、学校で会おうと話をしたから違うと思うけど」
誰だろう? 病院の関係者かな?
「たっくーん。お客様さんだよー」
俺のいるベットから、母さんのいる扉までは少し遠いので、母さんは俺と父さんに聞こえる大きめの声で言った。
「本当に誰だろ? ソラかな?」
俺がベットの上であぐら座りで呟いていると、母さんがその人物を部屋へ招き入れた。
「ルッ、ルナ!」
部屋に入ってきたのは、交通事故で死んだ俺を生き返らせた人物。
女神ルナだった。
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