26 刺客の正体

手元にゃ 未開封の判決文だけが残った が まだ読んでない

読むかもしれないし このまま一生 読まないかもしれない

ウンザリする紛争処理後片付けは始まってすらいない

事の発端は........母からの電子送電文メールだった

普段いつもなら連絡は来ない静かな時間帯 重暗い予兆が浮かぶ......

コリャ誰か死んだな...... 心が 身体が 硬くなる

件名は「~が亡くなりました」や「訃報」とかではなく

『緊急の用事です』ん? 誰も死んでない......のか?


「お母さんですが 膵臓すいぞうガンが 肝臓にも転移している事が判明しました

 明朝 緊急入院します 急で申し訳ないのですが 今から来て貰えるかな?

 今夜は姉さんの処に泊まります」

なっ......そんな...... 母には大病も無く運動スポーツもしており元気の手本だ

タバコ好きの不健康不良中年で常々体調悪いのは父の方だったので

一読した際 ガンになったのは父かと.....誰が癌だって?

ゆっくり読み直したが 文章がこぼれ落ちてゆく 古代文字や象形文字を

意識のズッと遠くから漠然と眺めてるみたいだ 文字が文字だと理解できない


頭蓋骨に手を突っ込まれ 脳味噌豆腐を鷲掴みにされグチャグチャに

引っ掻き回されたまま 意識を後方うしろ後方うしろへ引きり出される

身体は奥底へ吸い込まれ 口の中が苦く乾く

視野が急に狭くなり 視点も色彩も失せた

意識と認識は何処かズッと遠くへ離別はなれてしまい

身体は底の彼方かなた過重おも

意識と感覚と身体が連動せず 心が心として機能一致しない

操縦桿コントロールは別の場所へと消えた 自分の物ではない感覚

暫くして意識が少しだけ還って来た....『姉さん』ってのは

仲違いしてる伯母の事だろう とするとやはり癌は.....

母に違い無い......なんでウチの母が? 何も悪い事してないのに......

でも何で? 伯母の家?

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