第185話 ダイアナの小児インフルエンザ

「おはようダイちゃん❤️」

早めに目覚め、ハートを撒き散らしながら小さなダイアナの寝顔を眺めていたカールが目を覚ましたダイアナに声を掛ける。


「カール?」

なんだか声がいつもより高い。

「ダイちゃんはお熱を出したのじゃ、無理して起きてはダメじゃ。」

お布団の上からポンポンする。


「お熱……。」

「もう一度、測ってみるのじゃ。」

やはり38度を超えていた。

「小児インフルエンザで間違いなさそうじゃからサマンサさんに往診をお願いしようね。

食欲はないかもしれんがお薬を飲む前に何か少し食べるのじゃ。」

「しょうにインフルエンザ…。」

ダイアナが自分の小さな手をじっと見つめながらつぶやく。

「儂、いろいろ手配してくるからダイちゃんは安静にしてて欲しいのじゃ。」

ダイアナを寝かしつけ、お布団をポンポンして部屋を出るカール。


「ダイアナさんが小児インフルエンザかい!やっぱり具合が悪かったんだね…。」

「そうなのじゃあ…。」

心配そうなカール。

「サマンサさんに来てもらえるよう手配して、消化に良さそうなものを持っていくから陛下はお部屋に戻っていておくれ。」

「ありがとう唄子さん、助かるのじゃあ!」

少しでもダイアナの側を離れたくないカールが喜ぶ。


「……(ダイちゃん。)」←小声

部屋に戻り、そっと声をかけるとダイアナが少し動いた。眠ってはいなかったようだ。

「唄子さんがサマンサさんの往診を手配してくれたのじゃ。さあ頭をあげて…。」

ダイアナの頭の下に水枕をさしこみ、額の汗を拭う。




パタン。

寝室のドアをそっと閉じる。


「サマンサさん、往診ありがとう。」

「少しだけどフルーツも食べてくれて、お薬も飲んでくれたし、このまま安静に休んでもらいましょう。食欲が出てくるといいのだけど。」

「ダイちゃんはお熱が出ると長引くタイプなのじゃあ……。」

カールが心配そうに俯く。


「ダイちゃん……。」

「おばあさま……。」

部屋の外で待っていたダモエマも心配そうだ。

「とはいえ命に関わる病気ではないので、心配し過ぎはダメよ。」

「サマンサちゃん……。」

「エマちゃんは私と一緒に魔女の館に行きましょう。」

「僕は仕事にいきます。おじいさまのフォロー、頑張りますね。」


「儂は…。」

「陛下は仕事にならないと思うので、今日は有給にしてください。」

モテないトリオが理解あり過ぎる。

「すまんのう。」

「いえ…。」

「その保育士エプロン似合ってますね。」

「仕事を休んで介護する気満々ですよね?」


保育士エプロンから飛び出したカールの尻尾がフッサフッサ揺れていた。


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コメディ要素強めの現在ファンタジー はじめました。


◆ モン・サン=ミッシェルの鳥居ちゃん

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890741272


10話あたりからコメディ要素多めになってきます。

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