第166話 ボスの皮を剥がしてやりました

「ぉはようござぃます……。」

産まれたての子鹿のようにプルプルと震えながら登校したエマ。


美しく座る、立つ、歩く練習は慣れないエマには大変だった。昨日、調子に乗ってやり過ぎたエマが朝から筋肉痛に震えていた。

「エ、エマさん!……今日は作法のお稽古はお休みしましょうね。」

震えるエマを助けながらお休みを提案する麗華れいか

「……はい、そうしてもらえると助かります…。」


エマが転校してきただけでボス令嬢 麗華れいかが変わった。遠巻きにされていたボス令嬢 麗華れいかが打ち解けたことでクラスが良い方向に変わった。

麗華れいかがボス令嬢から、お節介で面倒見の良いおばちゃん令嬢にクラスチェンジしたことが原因だ。


もともと麗華れいかは正義感が強くて面倒見が良く、超の付くほどのお節介焼きだった。困った人を見かけると、「どうなさったの?」と誰にでも声掛けしていた。

『どないしたん?』『何か困ってんの?』と誰にでも声をかける大阪のおばちゃんのような性格がエマと一緒に過ごすことで強化された。


しかも麗華れいかは虎やヒョウが好きだった。この時代にヒョウ柄の着物は無かったが、あれば毎日着ていただろう。


着物は無かったが、虎柄やヒョウ柄の小物は愛用していた。


麗華れいかちゃん、今日のリボンは虎柄ですか?」

「あら、エマさんたら気づいてしまいましたか?」

麗華れいかが嬉しそうだ。

麗華れいかさんは虎やヒョウがお好きなのよね。」

「私もヒョウ柄や虎柄って、麗華れいかさんに似合うと思うわ。」


「そんな…、虎よりも虎柄が似合うだなんて褒めすぎよ……虎に悪いわ…。」


誰もそこまで言っていないのだが、恥じらう麗華れいかという滅多にないシチュエーションに誰もがツッコミを忘れた。

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