第12話【部下も家来も皆、良い人だった】

 殺伐とした空気は、一変和やかなムードが漂う。


(僕の事をパパ上と呼んでいる、この小さな丸い物体は、何だろう?シカトしちゃおうかな。)


 3人とも揃って言うことは1つ。

「姫君様!!」


(それはわかるよ。娘さんとは、会ってなかったからなぁ。名前わからないんだけど……本物の子赤の他人なんだね君?魔王様から借りた一帳羅にヤダ……ヨダレしゅごいんだけど!!)


「おぉ!!我が愛しき娘よ!!今日は、パパの職場に来たな~」


 零れ落ちるヨダレを気にせず地上から約4000mmの他界他界高い高いをする。


(見るからにハイテンションで振る舞うが部下達は、驚きもせずむしろ微笑ましく見守っているようだ)


(娘は、どうやらこれが好きなようだ。良かった良かった。)


 すると死天王が1人【死死舞のパリシ】が目線で合図を送ってきた。


(今です魔王様、例の必殺技やっちゃって下さい!!大ウケ間違いなしです!!)


 僕は、義理を抱き抱えながら左右に揺れる動作で断ろうとする。


(ごめん。宴会芸みたいな持ちギャグとか魔王様本人から聞いてないんだけど!!)


 だが、その揺れる動作がいけなかったのか家来達は、慌ただしく怯えだした。


「いくら魔王様といえども、実子のいる場でまさかあの技を!!」


 とか聞こえるけどただ揺れてるだけだからね?

 僕どうしたらいいの?目からビームとか出ないからね?


【母上へ、そろそろバレそうかと思ったけどチョロかったよ】

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