第5話 いい子
さっきも言ったようにすごくいい子なんです。でも、いい子すぎて自分と比べてとても苦しくなりました。
1年生どっちかこの仕事をしてくれと先輩や先生から頼まれたとき、私は緊張するとか、失敗したら嫌だとか、面倒くさそうと思ってしまいます。でもその子はすぐに私がやりますと言うんです。
そういうことが何回かあると、さすがにその子にばかり仕事をさせる訳にはいかないので、本当は嫌だけど私もやりますと言わざるを得なくなります。
自分から進んでやりますと言った方が周りからの印象が良くなるのは当たり前です。だからだんだん二人の間で仕事の取り合いのようなものが起こりました。どちらが先にやると言い出すか、どちらが周りに良い印象を与えるか。
表面下でそんな争いが繰り広げられているかのようにピリッとした緊張感が部活の中にありました。お互いに仕事に対しての愚痴は言ったことがないというか言えなかったです。言ったらやる気がないと思われて仕事を奪われる。今思えば私の中の勝手な考えだったかもしれませんがそんなふうに思っていました。
私は自分からやりますと言うことにすごくストレスを感じていました。マネージャーの仕事に対して心からやりたいと思うことが出来ませんでした。失敗したらどうしようという緊張と不安が常にありました。マネージャーそのものが私には向いていなかったのかもしれません。普段の私の生活はだらしないです。人の世話やサポートをする余裕なんてないくらい自分のことが出来ていませんでした。
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