第14話 ドロップ・アウト

ラインを抜けてメールをチェック

ノートをはじめ各SNSをまわる

妙に突き刺さるような視線を感じる

イヤホンを外すと車内放送のアナウンス


「ただいま運転を見合わせております」

何かあった?

「先頭車両にご乗車の……」

ん?

「麦わらの帽子に青Tシャツの男性」

むむ?


「速やかにスマートフォーンから手を離してください」

該当者は他にいない

怒られていたのは僕だった


ワニがドーナッツ!


今さら手放すような真似ができるもんか

(つながっていなければ消えてしまう)


世間の目なんかよりも大事なのは

手の中にある温もりと赤い知らせ

僕はスマホを持ったまま飛び出した

すぐにドアが閉まる

降り立ったホームから列車を振り返った


『優生電車』


やっぱり乗り間違えていた

優生電車で俯くことは許されない


「うっかりしたよ」


今朝のポストは

些細なあやまりから始まった

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