第10話 高校野球 夏前

春の大会での息子の応援の事を聞いた母が、

夏の大会に連れてってほしいと言い出した。

母も間近で孫の応援の歌を聞きたいのだ。

地元からは、少し離れた場所だったが、

息子に確認してからね、と、母に話し、自宅へと帰った。

息子にばぁちゃんがあんたの歌が聴きたいから夏の大会に行くっていってるからね。

あんた、歌うでしょ?

流し台で洗い物をしながら、問いかけた。


はっ?俺夏は歌わんで。ブラスがくるけん、

俺の歌の出番はないで。

ばぁちゃんに残念って言っといて。


あちゃー。めっちゃ楽しみにしてたのに。

でも、母に正直に伝えることに。

すると、歌わんのなら行くのやめる。遠いけん。来年、レギュラーで出るなら見に行くわ。

そうだね、その方がいいかもね。

とりあえず、母には、春の大会の応援の歌を動画で見せた。

顔が写ってないわぁ。と文句言いながらも良い声だねぇ。と、満足げ。

でもね、顔がね、写ってないとまた言う。


母よ。保護者は、部員の後ろから応援するからさ、後頭部しか撮れません。

ましてや、1年の保護者、ちょろちょろ出来ません。

レギュラーでなく、応援団を動画で撮るのもなかなかいないので、そこんとこ許してごしない。母よ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る