第21-5話 メイドカフェ(5)
「あうぅ、失敗してしまいました」
「いいんじゃないの? なんかニーズは捉えてたみたいだし」
客席に視線を投げると、先ほどの男性二人は真面目な顔で妹属性について談義を交わしていた。
「ほら、巨乳。次はあんたの番よ。胸を揺らして客寄せしてきなさい」
「それは普通にセクハラ発言だからね!?」
言いつつも、ドアチャイムの音に反応して紺乃は接客に向かっていった。来店した男性三人は、店先であるにも拘らず、熱気盛んに何やら論議を交わし合っている。
『やはり貧乳はステータスが真理だな』
『うむ、巨乳など議論するにも値せぬ』
『ぺちゃぱいほど素晴らしいものはない』
彼らはどうやら貧乳好きな三人組のようだ。
「お帰りなさいませなんだよ、ご主人様」
「ああ、どうも、三人で…………ぶはっ!?」
店員対応した背の高い男が固まった。
「沢村、どうした……ぶはっ!?」
突然の友人の変化に何事かと視線を向けた他の二人も、カチンと硬化する。心の中の三人の気持ちは一致していた。
(((……で、でかい)))
「? あの、どうかなさいましたか?」
紺乃が怪訝に首を傾げると、その豊満な胸がぷるんと揺れた。
(ふおぉぉ! なんだあれは……なんだあれはッ!?)
(メロンが胸についている……しかもすげえ形が良い……)
(欲望が……抑え込もうとしても心の奥底から欲望が溢れでる!)
(ていうか、あれ、ブラつけてないんじゃないか!?)
(ハァ!? そんなことがあるはずないだろ!?)
(いや、今時は蒸れたり苦しいからってブラをつけない女性もいるらしいぞ?)
(((………………)))
わずかの間、三人は黙っていたが、ついに猫背の男が口を開いた。
「あ、あの……すみません、少しジャンプして貰えますか?」
「? ジャンプですか?」
紺乃はわずかに首を傾げながらも、つま先でぴょんと跳ねてみせた。その跳躍の動きに合わせて、ぷるるん、と豊満な胸が大きく揺れて――
「「「ふおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
カフェ内に感極まった雄たけびが響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます