#085:煩雑かっ(あるいは、ヘッドロング=オービット)

 虚空に向けて空つっこみをかまそうとした私だったが、それを鋼の意志で押し殺し、されるがままに、その鮮やかな黄緑色の「プロテクター」とやらを身につけさせられることとする。もうここまで来たらしゃあない。


 機能性……というよりは、見た目ちょっと可愛い風に仕上げてるそのプロテクターだけれど。まあ、何というか、浮世離れ感に拍車をかける感じで、この異世界にそぐってる気はしないでもない。


 そして左腕には決勝第一戦でも付けてた「ホルダー」が続投。薄いグレーを透かして、内部に「蛍光黄色」のチップ(一枚100万円)が32枚、「蛍光ピンク」のチップ(一枚500万円)が6枚入っているのをさっき数えてみた。


 計6200万円。のっぴきならない額のせいか、左腕に地球のものとは思えないほどの重力がかかっているような感覚があるのは気のせい?


 いやいや、そこはもう意識すんなっての。とにかく目の前の「対局」に集中すること、それが今の全てだ。


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 一:シマ   :赤:13600

 三:チギラクサ:黄:11500

 九:ユジシ  :白: 2100

 八:センコ  :橙: 3500

 四:トザカナ :黒: 8600

 十;クロト  :青:  300

 二:イブクロ :藍:12300

 五:アコモデ :水: 6700

 六:シギ   :紫: 6700

 七:ミズクボ :緑: 6200

                  >


 五角形の「対局場」のそれぞれの頂点には電光掲示板が設置されていて、十人に絞られた面子の情報が表示されている。


 決勝第一戦時の順位で上から並んでいるけど、左の漢数字は、今の持ち金の多寡の順だそう。右の数字がその「持ち金」の額(万円)。


 真ん中の「色」は……まあそれぞれの「イメージカラー」とかのたまってたけど、要はそれぞれの対局者を判別しやすいようにという、運営側の、運営しやすさを重視したものであることは間違いないわけで。


 ただ、そのことから分かるのは、各々が入り乱れて戦う、乱戦であろうということ。


 これがねー、どうなるのか不安でしょうがない。


 対局者は11の区画に仕切られた「五角形」、それぞれの「区画」にひとりづつ、今は収まっている。


 五角形に内接する「五芒星」の5つの角状の三角形には、「一位」の島大佐から、時計回りに「二位」イブクロ、「三位」チギラクサ……というように配置されている。


 そして五芒星の隣り合う頂点同士を結んだ線分で形作られている「外側の三角形」は、島大佐からこれまた時計回りで「六位」「七位」……と、ぐるっと回っている。


 「七位」の私は、上空から見て島大佐の三角形の上の頂点を「12時」とすると、「3時から4時」くらいの「外側三角形」にいるというわけ。分かりにくいとは思うけど。


 右隣が「二位」の造反組であるイブクロ、左隣が「三位」で「正統元老」のチギラクサ。どちらも一億超えであり、かなりの強敵と見受けられる。この配置は……下位の者に対して厳しい気がする。

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